ソフトウェア無線(Software Defined Radio)技術をベースとしたシステム開発が進んでいる。5Gと呼ばれる第5世代移動通信の実用化に向けたRF計測もその1つである。日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、マルチチャネル無線通信システムの試作機を短期間で開発することができるソフトウェア無線ソリューションを提供している。
ソフトウェア無線(Software Defined Radio)技術をベースとしたシステム開発が進んでいる。5Gと呼ばれる第5世代移動通信の実用化に向けたRF計測もその1つである。日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、マルチチャネル無線通信システムの試作機を短期間で開発することができるソフトウェア無線ソリューションを提供している。NTTドコモは、日本NIの技術を利用して5Gの実証実験に取り組んでいる。
無線ネットワークの通信容量は拡大し続ける。このため、現行のLTEに比べて約1000倍の通信容量を備えた5Gの移動体通信技術が注目され、世界的に研究が続けられている。その実現手段としては、ミリ波を有効活用する技術や、複数のアンテナを利用して通信を行うMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術、周波数の利用効率をさらに高めるための新しい変調方式など、さまざまな手法が検討されている。
詳細な定義が固まらない中にあっても、主要な大学や研究機関、企業の研究所などでは、着々と5Gに向けた基礎研究が進められている。こうした世界トップレベルの研究/開発を支えているツールの1つが、日本NIが提供するソフトウェア無線ソリューションである。
日本NIが2014年10月22日に東京都内で開催した「NIDays 2014」の会場では、同社の瀧川和哉氏が「第5世代(5G)移動通信の動向と、それを実現するためのソフトウェア無線(SDR)」と題して講演を行った。SDRとは、ハードウェアを置き換えることなく、制御ソフトウェアを変更することによって、無線通信方式の切り替えを行うことが可能な無線通信、あるいはその技術である。この技術を応用して次世代移動通信システムを試作し、効率よく実験を行えるようにしたのが、同社のソフトウェア無線ソリューションである。
最新のRF計測器は、マルチコアCPUやGPP(General Purpose Processor)といった高性能プロセッサと、FPGAなど信号処理を高速に実行することができるハードウェアが搭載されている。これにより、複雑な処理をリアルタイムに行う必要があるアプリケーションであっても、計測器自体で柔軟に対応することが可能となった。瀧川氏は、「SDR技術は、ワイヤレス通信に限らず、自動車同士の車車間通信や衛星通信、GPSなど、いろいろな用途に利用することができる」と話す。
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