シナプティクスは、タッチスクリーンコントロールICや指紋センサーIC、中小型LCDドライバICなどの製品群で市場をリードしていくとともに、ヒューマンインタフェースの革命に向けて、「スマートディスプレイ」を実現するための技術基盤を提供していく。
シナプティクスは2014年10月30日、これからの製品/技術開発ロードマップなどについて、記者説明会を開催した。引き続き、タッチスクリーンコントロールICや指紋センサーIC、中小型LCDドライバICなどの製品群で市場をリードしていく。さらに、ヒューマンインタフェースの革命に向けて、「スマートディスプレイ」を実現するための技術基盤を提供していく方針を示した。
シナプティクスは、ルネサスエスピードライバ(以下、ルネサスSPドライバ)の買収を完了し、2014年10月1日に新生シナプティクスとして始動した。タッチスクリーンコントロール技術や指紋センサー技術で強みを持つシナプティクスが、中小型LCDドライバ技術やイメージ処理技術を得意とする旧ルネサスSPドライバを戦略的に買収した。これにより、入力からイメージ処理、表示制御まで、ヒューマンインタフェースに関わる技術や製品の開発において、事業基盤のさらなる強化を図った。
シナプティクスが注力している市場領域は4分野ある。これまでの「スマートフォン」、「タブレット端末」、「ノートPC」に加えて、「車載システム」をあらたな事業領域として挙げた。車載システム向けは、「TouchPad」、「ForcePad」、「ClearPad」、「LCDドライバIC」など、同社が提供する全ての製品を対象としており、既に受注獲得に成功しているという。
シナプティクスのスマートディスプレイ部(SDD)でシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャを務めるKevin Barber氏は、「旧ルネサスSPドライバを買収したことで、タッチスクリーンコントロール事業においても、製品ポートフォリオの幅と深みが増した」と話す。例えば、スマートフォンのハイエンドモデルと超ローエンドモデル向けは、タッチスクリーンコントロールICとLCDドライバICを個別に提供している。これらは個別に最適化を図ったICである。ボリュームゾーンのモデルでは、タッチスクリーンとディスプレイパネルが一体化されているものの、現行品ではタッチスクリーンコントロールICとLCDドライバICは別チップ構成となっている。これに対して、「今後のボリュームゾーンモデルはタッチスクリーンコントロールICとLCDドライバICを1チップに集積したICの搭載が主流になる」(Barber氏)とみている。
同社は、1チップに集積したICをTDDI(Touch and Display Driver Integration)と呼ぶ。1チップ化することにより、指でタッチしてから新たな画面が表示されるまでの遅延を大幅に改善できるという。TDDIチップには、マイクロコントローラも内蔵することができ、ウェイクアップジェスチャなどをローカル(ディスプレイパネル)側で処理することが可能となる。システムのコストや消費電力を節減できるのも、2つのICを1チップに集積する大きなメリットだという。
TDDIチップの第1弾として、シナプティクスが単独で開発してきたスマートフォン向け製品を、2014年第4四半期(10〜12月)に発売する予定だ。2015年中には日本チームと共同開発したTDDIチップを市場に投入するなど、製品群を拡大していく計画である。
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