タッチスクリーンコントロールICとLCDドライバICの統合に向けては、これらの機能ブロックを同期させるための「TDsync」技術も開発した。この技術を適用することで、チャージャやディスプレイ部で発生するノイズの影響を軽減できるという。
旧ルネサスSPドライバが得意としてきたLCDドライバICや、開発中のイメージ処理ICについても紹介した。LCDドライバICは、さまざまな解像度とパネルサイズに対応した製品群を用意している。これらの製品は消費電力を小さく抑えているのが特長である。
イメージ処理関連として3つの技術を紹介した。「アダプティブイメージコンプレッション」技術は、画像のピクセルパターンを分析し、そのパターンに適した圧縮方法を判断して実行する技術である。50〜67%のデータ圧縮が可能だという。「コンテンツアダプティブブライトネスコントロール(CABC)」技術は、表示部周囲の明るさ(輝度)を分析して、スマートフォンなどのディスプレイにおいて、バックライトの輝度を調整する技術である。例えば、屋外に比べて暗い室内では、バックライトの輝度を抑えることで省電力を実現していく。
「ローカルエリアオートコントラストオプティマイゼーション(ACO)」技術は、従来ガンマ曲線を変更することで画面全体を調整してきたが、ローカルエリアACOは各画素単位で調整を行う。コントラストが大きい画像の場合でも、この技術を用いると白トビしている部分だけを修正することが可能となる。「従来のディスプレイでは8ビット相当の階調だったのが、ローカルエリアACOを適用すると10ビット相当の階調で10億色を表示することができる」(Barber氏)という。
タッチスクリーンコントロールICやLCDドライバIC、指紋センサーICなどで業界をリードする同社は、TDDIチップなどで製品の差異化を図る。その上で、同社が取り組むのが「スマートディスプレイ」と呼ぶ技術基盤の提供だ。新たなヒューマンインタフェースを容易に実現していくための環境を提案していく。
さらに今後は、モバイル機器による決済も増加することが予想されており、セキュリティを高める認証技術が重要となる。同社は指紋センサーをベースに認証技術に対応していく。「当社はFIDOアライアンスを設立したメンバーの1社でもある。民生市場でのモバイル決済を、安全かつ容易に行うための標準化活動にも積極的に取り組んでいる」(Barber氏)と話した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.