有機ELディスプレイでは、水と酸素の侵入によって有機EL素子が劣化することが問題となる。米国のKateevaは、これを解決し、フレキシブルな有機ELディスプレイを実現しやすくする技術を開発した。
有機ELディスプレイ技術を手掛ける米国のKateevaは、フレキシブルな有機ELディスプレイを実用化する上での課題を解決するヒントとなりそうな技術を開発した。折り曲げても損傷することなく、あらゆる形状に対応可能な多種多様な機器の開発が可能になるかもしれない。
有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイよりも鮮やかな色を再現でき、製造工程もシンプルだ。ウェアラブル機器やスマートウオッチ、スマートフォン、柔軟性のあるフォームファクタの実現を目指すあらゆる種類のガジェット向けに、フレキシブルな基板上に製造することができる。
これまでにもさまざまな機器の試作品が開発されてきたが、酸素と水分によって有機EL素子が劣化し、民生機器としては製品寿命が短すぎるという問題から、まだ本格的な実用化と普及には至っていない。
Kateevaは2013年に、ロールツーロール(roll to roll)印刷技術を用いたインクジェット印刷機を発表している。この印刷機は、G8(第8世代)サイズ(2500×2200mm、98×86インチ)の大型有機ELディスプレイを作成することが可能だという。ただし、柔軟性のある湾曲ディスプレイは実現できても、酸素や水分を遮断するためには、それをガラスや金属などで覆う必要がある。つまり、販売される時には湾曲した角度が固定されていることになる(本当の意味で“フレキシブル”ではない)。
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