Kateevaは今回、フレキシブル基板に有機ELパネルを封止する技術「YieldJet Flex」を発明した。この技術によって、エンドユーザーが思いのままに形状を変えられる電子機器が実現する可能性がある。
Kateevaが開発した薄膜封止(TFE:Thin Film Encapsulation)技術は、柔軟性に優れた有機質層の上に極めて薄い無機質層を合わせ、独自のハイブリッド材料を作り出したという点で、斬新だ。Kateevaの共同創設者でありプレジデントを務めるConor Madigan氏は、このハイブリッド材料について、「酸素と水分の浸透による劣化の問題を完全に解決することができる」と主張する。
Madigan氏はEE Timesの取材に対し、「TFE技術では、ディスプレイ全体を“TFEスタック”で覆う。このスタックは、無機膜(通常厚さ1μm未満)と有機膜(通常厚さ6μm以上)が交互に重なったマルチレイヤー構造を持つ。無機膜は主に酸素や水分の侵入を防いで有機EL素子を保護する。有機膜は、ディスプレイの表面を滑らかにして平坦化する」と説明した。これらの成膜は、標準的な半導体製造工程を使ってできるという。
「無機膜の主な材料は、窒化ケイ素(silicon nitride)と酸化アルミニウムだ。無機質は、プラズマCVD(PECVD)、PVD(物理気相堆積)、ALD(原子層堆積)のいずれかで積層していく」(Madigan氏)。
現時点で、アジアのあるメーカーがYieldJet Flexを採用する予定だという。フレキシブルディスプレイを使った、これまでに見たことのないような機器が市場に登場するかもしれない。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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