フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンの社長に就任したKenric P. Miller氏が2014年12月4日、都内で会見した。
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは2014年12月4日、プライベートイベント「フリースケール・テクノロジ・フォーラム・ジャパン(FTF Japan)2014」を開催した。同イベントに合わせて、同年11月に同社社長に就任したKenric P. Miller氏と米国本社上席副社長Brandon Tolany氏が会見し、今後の事業方針などを明らかにした。
Miller氏は、2014年10月31日付で退任した前社長 David M. Uze氏の跡を引き継ぎ、日本での事業を統括することになった。北米地域における車載ビジネスのセールス・ダイレクタなどを歴任し、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン社長として初めてとなるこの日の会見でも「私の強みは、自動車分野にある」と自己紹介した。
日本市場についてMiller氏は、「世界的な通信機器メーカーの地元であり、自動車メーカー、最先端テクノロジーメーカーが集まっていて、多大なチャンスがある市場だ。個人的な話だが、私は新幹線の大ファン。1964年に走り始めた新幹線を見て、度肝を抜いた上、今も高速鉄道の金字塔だ。新幹線のように、日本の技術革新には目を見張るものがある」とした。
その上で、「日本のイノベーションパートナーになりたい。全ての事業分野で成長を目指していくが、日本のイノベーションの開花に貢献することを目標だ」と抱負を述べた。
日本での事業方針としては、「マイクロコントローラ(マイコン)」「デジタルネットワーキング」「車載用マイコン」「アナログ/センサー」「RF」の5分野にフォーカスするフリースケール全社の方針と足並みをそろえる。
本社上席副社長のTolany氏は、「2年前より、この5分野に研究開発費の85%を投資するなどフォーカスしてきた結果、ここ最近の成長につながった。この5分野は、全てIoT(Internet of Things)*)に関わる製品であり、市場を上回る成長を実現できた」とこれまでの成果を強調。今後もフリースケール全社で、この5分野に注力する方針だ。
*)フリースケールは、Internet of Thingsを「Internet of Tomorrow」と表現している。
IoT分野での、フリースケールの強みとしては、センサーノードからクラウドシステムまでに対応する広範な製品群を持つ点を強調。特に「ARMコア搭載マイコンの『Kinetis』から、(車載情報機器など向けの)『i. MX』、通信インフラ向けの『QorIQ』といった製品がそろっている点は強みだ」とマイコン/プロセッサ製品の充実ぶりを強調した。なお、産業機器など向けのARMベースの組み込みマイクロプロセッサ「Vybrid」については、「ユーザーに分かりやすくするため、同じARMベースプロセッサであるi. MXと開発を一本化し、よりブランド力のあるi. MXの名称で展開していく」(Tolany氏)と明かした。
Miller氏は「フリースケールがIoTに適した製品構成を持つとともに、日本の自動車メーカー、電機メーカー、通信機器メーカーもIoTで良いポジションにある。そうした意味で、成長していく機会に恵まれている」と日本での事業規模の拡大へ意欲を示した。
現状、フリースケール全社売上高に占める日本での売り上げ規模は、10%弱。Tolany氏は、「日本の車載市場でのシェアは、全社水準と比べると低く、まだまだ伸ばす余地がある」と自動車向けビジネスを得意にするMiller氏の下、日本での車載向け半導体シェア向上による売り上げ規模拡大に期待した。
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