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ルネサス包囲網! フリースケールとロームが車載分野で協業ビジネスニュース 企業動向

フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンとロームは、自動車向け半導体ビジネスでの協業を発表した。得意分野の異なる互いの車載用半導体を組み合わせたボードなどを開発し、国内外の自動車市場で提案を行っていく方針。将来的には、販売面などでの協業も視野に入れ、両社ともに車載向けビジネスの拡大を狙う。

» 2013年09月11日 16時45分 公開
[竹本達哉,EE Times Japan]

 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン(以下、フリースケールジャパン)とロームは2013年9月11日、自動車向け半導体ビジネスでの協業を発表した。フリースケールが強い車載向けマイコン/組み込みプロセッサ製品とロームの得意とするディスクリート半導体/電源ICを組み合わせたリファレンスボードなどを国内外の自動車市場に展開し、将来的には車載向け販売/マーケティング面でも連携していく方針。フリースケールは、今回の協業を生かしながら、車載向けマイコンで世界トップシェアでディスクリート半導体なども手掛けるルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)を追い「再び、車載マイコンで世界トップシェアになる」(フリースケール本社ヴァイス・プレジデント兼フリースケールジャパン社長のディビッドM.ユーゼ氏)とする。

2013年初めから協業を検討

 今回の協業は、2013年1月から両社で検討を始め、両社の車載向け製品群が補完関係にあり、「高い相乗効果が見込める」との判断から合意に至った。フリースケールは、車載向けマイコンの世界市場でルネサスに次ぐ「世界シェア第2位」(フリースケール)とする。一方のロームは、車載向けディスクリート半導体製品で「世界シェア第3位」(ローム)。世界規模で実績のある製品を組み合わせることで、「顧客の満足度を高めることが協業の目的」(両社)とする。

両社の補完関係を示す資料。得意とする製品分野やビジネス地域などで補完関係にあることを強調する (クリックで拡大) 出典:フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン

電源ICで一部重複も「すみ分け」を強調

 車載向け電源IC製品は、フリースケール、ロームともに製品を持ち競合関係にあるが、「フリースケールの電源ICは汎用製品が主体だが、ロームはカスタム対応にも強く製品数も多いため、顧客にこれまでにない選択肢を提供できる」(ユーゼ氏)とし、補完関係にあることを強調する。

 協業は、まず、互いの製品を使用したリファレンスボードや回路設計情報の提供から行う。既に、フリースケールの高耐圧アナログ回路搭載型車載用マイコン「S12 MagniV」の評価ボードで、マイコン周辺の電源回路部をローム製ディスクリート/電源ICで構成した製品の提供を開始している。「車載向けマイコンの主力製品である『Qorivva』のリファレンスボードにも、今後、積極的にローム製品を搭載していく」(フリースケールジャパン車載マイコン製品本部長/武藤功二氏)。

協業成果の1つである高耐圧アナログ回路搭載型車載用マイコン「S12 MagniV」の評価ボード (クリックで拡大) 出典:フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン

 フリースケールのカーナビなど車載情報系端末向けプロセッサ「i.MX6」でも、フリースケールが従来、自社製の高集積型電源ICで構成していた評価用ボードとは別に、ローム製品で電源回路を構成した評価ボードを開発し、設計情報を顧客に提供していく。「車載分野では、高度な熱設計が要求され、電源を分散して配置するロームの得意とするディスクリート型電源が好まれる傾向にある」(ロームLSI商品戦略本部LSI商品戦略ユニット車載担当部長末永良明氏)とし、両社製品の中から顧客ニーズに沿う最適な製品提案を実施していく姿勢を打ち出す。

「協業で、競争相手からシェアを奪う」

シェア1位を目指し指を1本立ててポーズをとるフリースケール本社ヴァイス・プレジデント兼フリースケールジャパン社長のディビッドM.ユーゼ氏(左)とローム取締役LSI商品戦略本部長の高野利紀氏

 また今回の協業は、「制限のあるものではない」(フリースケールジャパン)とし、「時期や内容は決まっていないが将来的には、必ず、セールス、マーケティングの部分でも協業する」(ユーゼ氏)とした。

 ローム取締役でLSI商品戦略本部長を務める高野利紀氏は、「ロームは車載向けプロセッサは手掛けておらず、これまで当社の車載向け製品がどのマイコンと使用されているかは把握していなかった。今回、フリースケールとの協業で、マイコンとの共同提案が可能になり、顧客により多くの選択肢を提供できるようになる。両社で“ウイン−ウイン”の関係が構築できれば、大きなビジネスになるだろう」と協業に期待を寄せた。

 ユーゼ氏も「協業の目的は、顧客満足を高めることだが、当然、われわれよりも強い競争相手からシェアを奪うことが念頭にある。今回の協業によって、競合からシェアを奪うという結果になる」と語った。

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