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光のスペクトルを操る――パナソニックのLED照明技術、世界展開に注力光を徹底的に研究(1/2 ページ)

パナソニック エコソリューションズ社は、光のスペクトルや色などを徹底的に研究し、「何をどう見せたいのか」「どんな空間を作り上げたいのか」に対するニーズに応えるべく、LED照明の開発と製品提供を行っている。

» 2014年12月05日 12時05分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 低消費電力の照明として普及が進むLED照明。パナソニック エコソリューションズ社によれば、照明の中でLEDが使われている比率(LED化率)は、4年前には10%程度だったが、現在は70%に上るという。2010年6月に閣議決定した新成長戦略では、エネルギー大国戦略の1つとして、LED/有機ELの次世代半導体照明(SSL:Solid State Lighting)を、2020年までにフロー型で100%、2030年までにストック型で100%普及させることを掲げている。こうした背景もあり、パナソニックは「LEDに置き換える器具は、今後も十分に存在する」と見ている。

photo 2020年から2030年にかけて、LED照明/有機EL照明への切り替えが進む(クリックで拡大)

 パナソニック エコソリューションズ社は、LED照明を、「単なる照明」というよりは、その照明によってどんな空間を作りたいのか、という「空間全体を制御する方法」として提供していきたいと考えているという。そのために、光のスペクトルを制御する技術や、照明ソフトウェアと組み合わせ、光の色や空間分布も制御する技術に力を入れている。

光の波長を調整する

 スペクトル制御技術とは、光源のスペクトルを制御して対象物の見え方をコントロールするものだ。同社のLED「美光色(びこうしょく)」は、肌の色を美しく見せるために開発された製品である。肌の色には、メラニンや、血液中のヘモグロビンが影響を与えるとされている。570〜580nmの波長域では、血液の反射率が低いため、ヘモグロビンよりもメラニンが目立つことになり、それによって肌がくすんで見えてしまうことが分かった。そこで美光色では、570〜580nmの波長成分を調整することで、肌が美しく見えるようにしたという。別のシリーズである「彩光色(さいこうしょく)」では、同じく570〜580nmの波長成分を調整して黄みを抑え、さらに赤色成分の波長を長波長側(赤くなる方向)にシフトすることでより鮮やかな赤みを表現できるようにした。これによって、料理や植物を色鮮やかに見えることができるという。

photophoto 左=「美光色」と一般的なLEDを比較。右=「彩光色」と一般LEDを比較。どちらの画像も、左側が一般LED(パナソニック エコソリューションズ社製)である。美光色は、やや赤みがかって見えるが、手などをかざすと肌がよりきれいに見える。彩光色は、色が鮮やかなのが分かる(クリックで拡大)
photophoto 左=美光色のスペクトル制御技術のイメージ図。右=光の色制御技術の一例(クリックで拡大)

 さらに、照明ソフトウェアで光の色(青みが強い色、オレンジ色など)や明るさを制御する「光の色制御技術」「光の時間制御技術」を用いれば、外光と連動して色と明るさが変わるような部屋/オフィスを実現できるという。パナソニック エコソリューションズ社は、次世代のオフィス照明として、サーカディアンリズムに配慮した照明を行うオフィスを提案している。サーカディアンリズムとは、1日の太陽の動きによってもたらされる体温や血圧、ホルモン分泌などが変動することだ。例えば、午前中は青みの強い照明にして、午後は暖色の照明にするなど、太陽の光をまねたような照明を再現することで、快適さと生産性を追求できるとしている。

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