携帯電話システムや無線LANなどに使われる最先端の回路技術が紹介される無線通信セッション。今回は、無線通信の小型化と高品質化に寄与する回路技術などが報告される。
「無線通信(ワイヤレスコミュニケーション)」をテーマとするセッションでは、マルチバンドやマルチモードなどに対応した多機能無線通信用送受信器やデジタルアナログ変換器、通信品質を高めるための妨害波除去技術、回路構成を動的に変更可能な受信器などの研究成果が報告される。携帯電話システムや無線LANなどに使われる、最先端の回路技術である。
発表講演は2つのセッションに分かれている。セッション9(サブテーマは「高性能無線」、2015年2月24日火曜日午前8時30分開始予定)と、セッション19(サブテーマは「先端無線技術」、同25日水曜日午前8時30分開始予定)である。いずれのセッションも、7件の講演を予定している。
セッション9(高性能無線)では、高速データ通信規格に対応した携帯電話用無線通信回路、マルチモード無線LANに対応したPLL回路などが披露される。
大手通信用ICベンダーのBroadcomは、GSMとEDGE、HSPA+、TDS-CDMA、LTEに対応したトランシーバを発表する。ギリシアBroadcomと米国Broadcomの共同開発チームによる成果だ(講演番号9.1)。製造技術は40nm。シリコンダイ面積は13平方ミリと小さい。
ドイツのIntelを中心とする研究チームは、3G対応のCMOSリニアパワーアンプを内蔵したHSPAトランシーバを報告する(講演番号9.2)。送信出力が23.5dBmのときに、-110dBm以下という高い受信感度を達成した。
米国の大手通信用半導体ベンダーMarvell Semiconductorは、無線LAN規格の802.11a/b/g/n/acに対応したデジタルフラクショナルPLLを発表する(講演番号9.4)。28nmのCMOS技術で製造した。発振周波数を3倍に変換する機能を備える。
大手通信用ICベンダーのMediaTekは、LTE対応の発信器回路を発表する(講演番号9.7)。台湾MediaTekと米国MediaTekの共同開発である。33%のデューティサイクルを有する局部発振器信号によって高調波雑音を抑制した。SAWフィルタを省くことで、実装占有面積を縮小している。
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