目まぐるしく変化する中国のスマートフォン市場。中国最大の通信事業者であるChina Mobileが、スマートフォンに課す通信規格の対応数を減らしたことから、モバイル向け半導体を提供する中国メーカーが勝負しやすい状況になった。QualcommやBroadcomなどの米国大手半導体メーカーは、少なからず影響を受けるとみられる。
「目まぐるしく変動する中国のモバイル市場が、QualcommやBroadcomなどの米国の半導体大手に影響を及ぼすと懸念される。しかもその時期は、当初の予測よりもかなり早まるかもしれない」―――「2015 International CES」(2015年1月6〜9日、米国)では、複数の情報筋からこうした意見が聞かれた。
中でも特筆すべき変化は、中国最大(加入者数では世界最大)の通信事業者であるChina Mobileが、China Mobileがスマートフォンに課す通信規格数を「5」から「3」に減らしたことと、中国のアプリケーションプロセッサベンダー数社がWi-Fi対応/Bluetooth対応通信チップ分野への参入を計画していることだ。
China Mobileは当初、TD-LTE、FDD-LTE、TD-SCDMA、W-CDMA、GSMの5モード/10バンド対応のスマートフォンのみを購入していた。この方針の背景には、TD-LTEの国際化と複数のモバイル通信技術の開発を促進する目的があったといわれている。
しかし、China Mobileは2014年、通信規格条件を緩和し、TD-LTE、TD-SCDMA、EDGE/GPRS/GSMの3モード対応スマートフォンも購入対象に含むようにした。
China Mobileの新たな方針によって、Spreadtrum CommunicationsやLeadcore Technologyなどの中国のファブレス半導体大手と、中国を拠点とするスマートフォンメーカーが恩恵を受けることとなった。
中国の業界筋によると、China Mobileの3モード対応スマートフォンは、より低価格のTD-LTE対応スマートフォン発売への布石とみられるという。China Mobileは、5モードから3モードに条件を緩和した先に、さらなる緩和を行って同社が積極的に推進するTD-LTEサービスの普及を狙うとしている。
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