Wi-SUNアライアンス創設メンバーの1社であるアナログ・デバイセズは、Wi-SUN対応機器をより開発しやすい環境構築を目指し、無線モジュールメーカーなどとの連携強化を進めている。
IoT(モノのインターネット)を実現する無線通信規格の1つとして注目を集めるWi-SUN。情報通信研究機構(NICT)が国際標準規格化の中心的な役割も担ったこともあり、“日本発の無線通信技術”として、国内から徐々に普及が始まりつつある状況だ。このWi-SUNに早くから着目し、Wi-SUNの普及啓もう活動に積極的に関わっている企業の1つが、アナログ・デバイセズだ。規格策定や普及啓もうなどを行うWi-SUNアライアンスの設立メンバー(プロモーター)9社に、唯一の外資系半導体メーカーとして名を連ねている。
アナログ・デバイセズはもともと、Wi-SUNが使用する1GHz未満周波数帯「サブギガヘルツ帯」(日本では920MHz帯など)に向けたRFトランシーバICを展開。欧米など海外でスマートメーターやHEMS(家庭内エネルギー管理システム)などで採用実績を重ねる中で、日本で920MHz帯の利用解禁直前の2011年に日本のサブギガヘルツ帯に最適化したRFトランシーバIC「ADF7023-J」を発売した。このADF7023-Jの拡販を図る上で、サブギガヘルツ帯の有力な無線通信規格の1つとして、Wi-SUNに着目し、プロモーターとして、無線機器の相互接続性のため、プロファイル仕様の策定や認証プログラム対応にも参画してきた経緯がある。
スマートメーターやHEMSなどを結ぶスマートユーティリティネットワーク(SUN)向けに開発されたWi-SUNは、2013年に東京電力がスマート電力メーターと家庭内に設置されるHEMSゲートウェイを結ぶ「Bルート」と呼ばれる通信経路に使用する通信規格の1つとしてWi-SUNを採用することを決定。東京電力の決定により他の国内電力会社も追従する見通しで、今後、7800万台が設置されるとみられる国内のスマート電力メーターの多くにWi-SUNが使用される見込み。さらに「HEMSゲートウェイにWi-SUNが搭載されることで、HEMSゲートウェイとエアコンなどの家電や照明を結ぶ宅内無線ネットワーク(HAN)でもWi-SUNが利用される可能性も広がっている」(アナログ・デバイセズ エネルギーストラテジックビジネスセグメント トーマス・ジョイス氏)とWi-SUNの普及拡大に向けて下地が整いつつある。
こうした状況下で普及のカギを握るのが、機器にWi-SUNの機能を組み込むための環境整備だ。
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