CSRの屋内測位技術「SiRFusion」は、Wi-Fi信号やGPSの情報、加速度センサー/角速度センサーなどを組み合わせて屋内外の測位を行うシステムだ。新たにインフラを設置しなくても、既存のもので対応できるのが最大の特長となっている。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、測位環境(自分がいる位置を把握できる環境)を活用したさまざまなサービスの展開が検討されている。例えば、目的地へのナビゲーションや、近隣店舗/施設のサービス情報の送受信といった具合だ。とりわけナビゲーションは、日本語が分からない外国人が利用したり、災害時などに避難経路を示したりと、重要になると考えられている。
こうしたサービスを展開するには高い精度で屋内外を測位する必要がある。CSRは「ここ半年、特に屋内測位に高い関心が寄せられている」と話す。だが一方で、高層ビルが立ち並び、網の目のように複雑に地下街が広がる東京は、連続的な屋内外測位をするにはかなり過酷な環境だという。
そこでCSRが提供するのが、屋内測位技術「SiRFusion(サーフュージョン)」だ。SiRFusionは、Wi-Fi信号やGPS、歩行者デッドレコニング(PDR:Pedestrian Dead Reckoning)からのリアルタイムの測位情報や、各種MEMSセンサー(加速度センサー、角速度センサー、地磁気センサー)で測定できる相対的な位置情報、クラウドベースで提供される「CSRポジショニング・センター」からの情報を組み合わせて、高い精度で測位を行うものだ。CSRポジショニング・センターには、Wi-Fiアクセスポイントの位置のデータベースが蓄積されている。SiRFusionは、既存のWi-Fiアクセスポイントなどからの情報を用いるので、新たに測位用のインフラを設置する必要がないのが特長だ。
さらに今後は、Bluetooth Low Energyを利用したビーコン(BLEビーコン)からの信号を拾って測位できるように準備を進めている。CSRは、「BLEビーコンは、送信距離が10m〜20mなので、Wi-Fiよりもさらに高い精度での測位が可能になる」と説明する。
CSRは2014年11月に、Android用アプリ開発者向けにSiRFusionのSDK(ソフトウェア開発キット)を発表している。SiRFusionを、Androidのアプリケーション層にライブラリとして実装するだけで、SiRFusionを活用するアプリを簡単に開発できるようになる。
CSRは、SiRFusionを実装したAndroidスマートフォンを使って、東京駅の八重洲地下街を歩く実験を行っていて、同一のテストルートを3回歩いたところ、3回ともほぼ同じ測位結果が得られたという。
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