NTTは、「NTT R&D フォーラム 2015」において、2020年の実用化を目指して開発中の技術を展示している。全方位カメラを利用するスポーツ観戦スタイルや、AR(拡張現実)を採用したナビゲーション機能など、東京オリンピック・パラリンピック開催を意識した技術が公開されている。
NTTは、NTTグループやパートナー企業との研究成果を発表する「NTT R&D フォーラム 2015」(2015年2月19〜20日)において、2020年の実用化を目指して開発中の技術を展示中だ。東京オリンピック・パラリンピックを意識し、より臨場感にあふれる観戦スタイルや、日本ならではの“おもてなし”の提供をテーマに、技術開発を進めている。なお、今回の展示の目玉であるプロジェクションマッピング技術「イマーシブテレプレゼンス技術 Kirari!」のデモは、こちらの記事で紹介している。
Kirari!同様、高い臨場感の実現を目指して開発中なのが、全方位カメラとマイクを使った「全天球映像音響インタラクティブ視聴技術」だ。全方位カメラとマイクで撮影された360度の映像と音響を、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)とヘッドフォンで再現する。ユーザーが右を向けば、右側の映像と音声が再生される、といったように、ユーザーが向いた方向に合わせて映像/音声が提供される。自宅にいながら、まるで自分がフィールド内で観戦しているかのような、高い没入感を実現することが目標だ。
フィールド内に複数のカメラを設置し、撮影した映像/音声をサーバにアップして独自のエンコード技術で圧縮する。この際、タイル状に区切って圧縮するのがポイントだという。タイル状に区切ることで、ユーザーが向いた方向の映像だけを高画質に、HMDに伝送できる。つまり、ユーザーが向いていない方向の映像は低画質で再生されていることになる。NTTは「これによって、伝送に使う帯域幅を節約できる」と説明する。
ただ、この技術の一番の問題は、フィールド内にカメラを設置することが難しいという点だ。「現在、フィールド外に置いたカメラで撮影した映像から、全天の映像を再生できるよう、開発を進めている」(NTT)。
こちらは、マラソンなどの個人競技で、お目当ての選手の情報をリアルタイムで入手できるサービスだ。NTTが想定している使い方は次の通りである。
このサービスでは、沿道で応援する人々に、撮影した画像/動画を専用クラウドにアップしてもらい、それらをつなぎ合わせて、特定の選手の走りを再生している。観客に映像を提供してもらうことで、さまざまな角度からの映像が集まることになる。そのため、右側から見た場合、左側から見た場合、といったように、複数の角度での走りを確認できる。「2020年にはドローンでの撮影が可能になっているかもしれない。そうすれば、上空から撮影した俯瞰的な動画も再生できる」(NTT)。
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