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Android OSの断片化が進む中国スマホ、セキュリティの課題が浮き彫りにビジネスニュース 業界動向(1/3 ページ)

Android OSの「断片化」が進む中国。個人のモバイル機器を社内に持ち込んで仕事をするBYOD(Bring Your Own Device)が盛んになっている今、セキュリティへの懸念も高まっている。

» 2015年03月25日 09時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

 エレクトロニクス業界は、Android端末の「断片化」が進んでいることを認識している。しかし、中国国内で急激に拡大している、Android OSの「断片化(バージョンの乱立)」についてはどうだろうか。

 これは、見方によっては、中国のスマートフォンメーカーは、Androidの端末を独自に作り込む能力があることを示しているのかもしれない。オープンソースのAndroid OSを独自に進化させようと、積極的に取り組んできた成果だといえる。一方で、セキュリティ分野の専門家は、企業データのセキュリティについて懸念しているという。多国籍企業の従業員の間で、個人の端末を社内で使用するBYOD(Bring Your Own Device)が増加傾向にあるためだ。

 PNI SensorのCTO(最高技術責任者)であるGeorge Hsu氏は最近、EE Timesのインタビューに応じ、「中国のスマートフォンメーカーはかつて、スマートフォンOS市場におけるGoogleの優位性を懸念していたが、今ではAndroid OSの断片化が進み、その心配はなくなった」と述べている。

 Hsu氏によると、中国のスマートフォンメーカーは現在、自社製スマートフォンを特定の動作に対応させるために、より大胆かつ独創的な取り組みを進めるようになったという。例えば、中国のスマートフォンメーカーは、Googleが情報サービス「Google Now」のような常時ONのアプリケーション専用の機能を提供してくれるまで待ってはいない。自社の新型スマートフォンに、センサーハブなどの独自開発したハードウェアを追加することによって、コンテキストを意識した独自機能を実現しているのだ。

“互換性のない”断片化が進む

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 中国におけるAndroid OSの断片化は、互換性を持たないまま押し進められてきた。一例として挙げられるのが、Alibaba Group Holdingの子会社であるAliCloudが提供する「Yun OS」だ。このYun OSの開発目的は、同社のeコマースアプリケーションや各種サービスにユーザーを取り込むことだと報じられている。

 Alibabaは2015年2月、中国の小規模スマートフォンメーカーであるMeizuに5億9000万米ドルを投じることを発表した。中国の業界専門家は、「Alibabaはこの投資によって、Yun OSをモバイル市場に深く浸透させることを狙っている」とみている。

 現時点で、中国国内で開発・製造されているAndroidスマートフォンのうち、実際にGoogleの「Android CTS(Compatibility Test Suite)認証」を受け、Androidの互換性定義仕様「Android Compatibility Definition Document(Android CDD)」に準拠しているものがどのくらいあるのかは不明だ。セキュリティ専門家は、「GoogleのCTS/CDDに準拠していない端末は、セキュリティぜい弱性を抱えた状態で出荷される恐れがある(Googleの認証機器にはその危険性はない)」と警鐘を鳴らしている。

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