「スタンダードセル方式」の「スタンダード」とは、セルの高さと横幅が標準化されていることを指す。今回は、スタンダードセル方式で、高さの異なるセルを特性に応じて使い分ける方法と、同じ高さのセルで電流駆動能力を高める方法を紹介する。
CPUを含めたデジタル論理回路のマスク・レイアウト設計では、基本回路のスタンダードセルを組み合わせる。NOT(INV)やNAND、NOR、AOI(AND-OR-INV)、OAI(OR-AND-INV)といった論理ゲート、フリップフロップやマルチプレクサなどの基本的な論理回路、ゲーテッドクロックやバッファ、遅延回路などの補助的な回路といった様々なスタンダードセルがあらかじめ、用意されている。あらかじめ準備されたこのようなスタンダードセルの集合を「セルライブラリ」と呼ぶ。
ところでスタンダードセルの「スタンダード(標準)」では、何がスタンダード化(標準化)されているのだろうか。それはセルの「高さ」と「横幅」だ。
セルの高さは、第2層金属配線(セルを左右に貫いて平行に走る)の本数によって決まっている。例えば9本の第2層金属配線がセルの高さに等しいときは、「9トラックのスタンダードセル」あるいは「SC9」と呼ぶ。セルライブラリでは、高さのそろったスタンダードセル群を用意する。
セルの横幅は、ゲートピッチの整数倍と定められている。例えば最も基本的な論理ゲートのCMOSインバータは、ゲートピッチの2倍の幅があり、実際に使っているゲート電極は1本だけである。そこで「×1」と記述して横幅を示す。「INV ×1」とあれば、ゲート電極1本を使用したインバータであると分かる。
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