Qualcommは、米国で開催された「International Symposium on Physical Design(ISPD)」で、同社の3次元SoCの技術動向について語った。TSV(シリコン貫通ビア)を使わずに積層することで、小型化と歩留まりの向上を実現したいという。
Qualcommのエンジニアリング部門でバイスプレジデントを務めるKarim Arabi氏は、2015年3月29日〜4月1日に米国カリフォルニア州モントレーで開催された「International Symposium on Physical Design(ISPD)」で、同社の3D VLSI(Very Large Scale Integration)を用いたSoCの技術動向について語った。
Arabi氏は、EE Timesに対して、「当社の3D VLSI技術(Qualcommは「3DV」と呼ぶ)は、ダイサイズを半分に縮小し、歩留まり率を上げることができる」と話している。
同氏によると、Qualcommは、2018年には80億台に達すると予想されるスマートフォン市場に狙いを定めているという。2018年にはスマートフォンの製造台数は、コンピュータとその他の電子機器の合計台数を上回るとされている。「音声認識アプリのようなコンピューティング処理に優れたアプリケーションをクラウドで利用できるとしても、スマートフォン本体のプロセッシング能力の必要性はさらに高まる」と同氏は指摘する。
Qualcommは長期にわたり、人間の脳をモデルにしたNPU(ニューラル処理装置)の開発に取り組んでいる。Arabi氏はその理由について、「人間の脳は、次世代モバイル機器やクラウドコンピューティング、ビッグデータの処理、ディープラーニング(深層学習)、マシンラーニング(機械学習)に求められる高度な柔軟性と効率性を備えているからだ」と説明している。ただし同社は、「当面は従来品のSoCの性能向上と、3DVのインターコネクト技術、プロセス技術の開発に取り組む」としている。
同社は現在、2016年の市場投入を目指して、2種類の3DVインターコネクト技術を開発している。2種類の3Dインターコネクト技術とは、face-to-back(F2B)とface-to-face(F2F)である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.