方法としてはF2Bの方が簡単だ。F2Bは精密な接合が不要で、第1層の上部にシリコン薄膜を形成して、従来のビア技術を使って第2層を構築する。だが、下位層は1200℃もの高温で製造される場合が多いが、第2層は銅インターコネクトが溶けないように温度を1085℃までに制限しなければならない。
この課題を解決するために、Qualcommはインターコネクトにタングステンを使った。タングステンの融点は3422℃である。
もう1つの対策は、上位層に温度制限(例えば625℃など)を設けることだ。だが、この手法だと、第2層のトランジスタ性能がpチャンネルMOSFETで27.8%、nチャンネルMOSFETでは16.2%低下してしまう。現在のF2B技術では性能面で37%、処理能力で41%を犠牲にすることになり、理想的な3Dチップを作製することはできない。
一方でF2Fでは、銅インターコネクトを使うことができ、トランジスタ性能もそこまで低下しない。だが、よりサイズの大きいビアが必要になり、精密な接合ができなくなるというデメリットがある。
Qualcommは、F2BとF2Fを組み合わせれば、無限に積層できる3DV SoCを製造できると考えた。
Arabi氏によると、この方法では、コストがかかる最先端の製造プロセスは下位層だけに使えばよいという。例えば、CPUやGPUを集積する下位層は10nm〜14nmプロセスで製造し、機能的にCPU/GPUなどほど重要ではないチップは、コストの安い、より成熟したプロセス(28nmなど)で作ることができるとしている。なおArabi氏は、最も歩留まりが高い3DV SoCは2層構成で、3層構成になるのは、RFチップなどを上位層にさらに積層する場合などだという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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