説明会では、2014年度の主な研究成果として、17件の技術展示も行った。この中で、「200Gbpsで通信パケットをモニタしながら品質解析するソフトウェア」と「さまざまなスマートフォンと周辺デバイスを簡単につなげるWeb OS技術」は初めて公開された。
IoT(モノのインターネット)時代を迎える中で、通信ネットワークサービスにおける事故やセキュリティ問題、レスポンス低下などは、大きな問題となる。こうしたトラブルの原因を早期に突きとめ、対処することが重要となる。このために開発したのがサービス品質を解析するソフトウェアである。
200Gbpsで通信パケットを監視しながら、ネットワークやアプリケーションの品質をリアルタイムに解析できるソフトウェアは、1台の汎用ハードウェアを利用して、従来の10倍に相当する解析性能を実現した。データセンターの品質解析では10Gbps(上下合計20Gbps)回線を10本同時に診断することができる。既に導入済みの100Gbpsイーサ キャリア基幹網の品質解析(上下合計20Gbps)にも対応することができるという。しかも、高価なハードウェアを使わずに済むため、サービス品質劣化の原因や場所の特定を低コストで実現することが可能である。
同ソフトウェアでは、高速化を実現するため、主に3つの技術を開発した。それは「パケット収集高速化」技術、「メモリアクセス高速化」技術、「処理の並列化」技術である。パケット収集高速化技術では、パケット到着ごとに発生していた割り込みを集約することで処理回数を削減した。さらに、1つのCPUコアで行ってきた割り込み処理を複数のCPUコアに負荷分散させることで、パケット収集の処理性能を高めた。
メモリアクセス高速化技術は、パケット収集や品質解析の処理間で、データ参照の方法やタイミングを工夫した。パケットや解析データのコピーを行わずに参照可能にするとともに、同時書き込みや参照中の領域への書き込みを行わないようにすることで、コピーや処理の排他制御を不要としている。
処理の並列化技術としては、ロックフリー・リングバッファ技術を開発した。これまで必要となっていたパケット収集と品質解析処理間の排他制御(ロック)をなくして、1つのバッファを同時に利用することを可能とした。これにより、搭載するCPUコア数に比例して演算性能を向上させることができるという。開発成果は2015年度中に製品への搭載を目指している。
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