NTTなどが今回、提唱した理論は、物質量子メモリの使用を回避しながら、量子中継を行うもの。量子もつれ生成と量子もつれスワッピングの順序を従来方式と逆にする手法で、NTTなどは「時間反転型方式」と呼び、量子メモリを使わずに、量子通信を行える。
提唱する時間反転型方式では、各中継器自身が持つ複数の量子ビットに量子もつれスワッピングに相当する量子演算を実施する。これにより、各中継器が持つ量子ビットは全て互いに量子もつれで結ばれた状態(クラスター状態)となる。そして、中継器/送信器間で光子を伝送し、個々の量子ビットへの演算を行うことで、送信器間を量子もつれで直結し、量子通信を行う。
この際、個々の量子ビットへの演算は、失敗が許されない演算となるが、1量子ビット演算であり「任意の系で確率1で成功する」(NTT)ため、量子メモリを必要としない。なお、従来方式の量子演算(ベル測定)は2量子ビット演算であり、光子などの系では確率1で実行できない。
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