増加の一途をたどるデータトラフィック。携帯電話ネットワークにかかる負荷を減らすべく、アンライセンス周波数帯(LTE-U/LAA)を、より効率的に利用するための取り組みが進んでいる。だがこれによって、「LTE対Wi-Fi」という対立の構図が生まれつつあるという。
米国連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)は2015年5月5日(米国時間)、免許不要の周波数帯を用いてLET通信を行うための規格である「LTE-Unlicensed(LTE-U)」と「Licensed Assisted Access(LAA)」、いわゆるアンライセンス周波数帯に関する情報を収集するという告示を出した。多くの報道機関は、「これをきっかけに、LTE-U/LAAとWi-Fiが共存できる可能性を探る討論が活発化するだろう」と伝えている。
通信事業者が提唱するLTE-U/LAAは、現在はWi-Fi通信に利用されている免許不要の周波数帯でLTEを運用するための規格である。急増する携帯電話ネットワークのデータトラフィックをWi-Fiネットワークに振り分けることが狙いだ。
「LTE-U/LAA対Wi-Fi」の議論には、公平性の問題が潜んでいる。大手通信事業者は、アンライセンス周波数帯を使いたがっていると思われるが、確証はなかった。“Wi-Fi First(まずWi-Fiありき)”の支持者やケーブル事業者のような、ブロードバンド事業を主とするアンライセンス周波数帯の利用事業者との競争を避けるために、通信事業者が新しい規格を推進しているのかどうかが、定かではなかったからだ。
だがここに来て、新たな情報が手に入った。
DSL Prime, A Wireless Cloud & The DOCSIS Reportの編集者を務めるDave Burstein氏は、移動通信システムの標準化プロジェクトである「3GPP(3rd Generation Partnership Project)」が2015年4月下旬にセルビアのベオグラードで開催したワーキンググループミーティングで、AT&T、T-Mobile USA、Sprint、China Mobile、KT、Telefonica、Orangeを含む11社の通信事業者に配布された文書を入手したという。
「無免許の通信事業者によるLTEスタンドアロンアクセスの防止」というタイトルの同文書には、以下の2点が記載されていた。
a)「LTE-Uはどの通信事業者(アンライセンス周波数帯を利用する通信事業者を含む)も利用できる」という、3GPP独自のルールを改訂する
b)LTEを扱う通信事業者以外のLTE-Uの利用を禁止する
Burstein氏はEE Timesに対して、「通信事業者各社は、“LAAは、認可されているLTE用周波数帯で制御信号が必要だ”と考えている。例えば、“Wi-Fi First”のビジネスモデルを採用している米国のRepublic Wirelessなどは、認可されているLTE用周波数帯を持っていない。
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