LAAは3GPPが開発中の新しい規格で、LTE-Uと似ている。認可を受けた通信事業者が、現在はWi-Fi通信に利用されているアンライセンス周波数帯を使ってデータ通信を行えるようにするものだ。
同規格の策定の背景には、文書で指摘されているように、「アンライセンス周波数帯へのスタンドアロンアクセスを展開することによって、ビジネスモデルが大きく変わり、(通信事業者が自身の)バリューチェーンに影響が及ぶ可能性」を危惧していることがある。
分かりやすく言うと、Wi-Fi技術の向上によって、LTE-Uのために開発された新技術をWi-Fiでも利用できるようになった。その結果、Republic Wirelessのような事業者やComcastのようなケーブル事業者が通信事業者のようになりつつあり、市場勢力図が崩壊し始めている。3GPPはこうした事態を懸念しているのだ。
Burstein氏は、「3GPPが、これまでと全く異なるビジネスモデルの登場を恐れていることが文書で明らかになった。LAAの推進は、通信事業者が新しいビジネスモデルとの競争を避けるために行っていることだ」と指摘している。
The Linley Groupの主席アナリストであるJag Bolaria氏は、EE Timesに対し、Burstein氏の見解は的を射ていると述べた。
Bolaria氏は「携帯電話ネットワークの方がWi-Fiよりも優れている点もある」と述べる。例えばLTEは基地局の切り替えに長けているが、Wi-Fiではスムーズな切り替えは難しい。さらに、LTEはWi-Fiよりもはるかに効率的に帯域を使うことができる。
だが、Bolaria氏は、「携帯電話ネットワークは持たないが、多くのWi-Fiアクセスポイントを持つComcastのような事業者は、LTE-U向けに開発された技術を用いて、技術の向上や能力の拡張を図れる」と指摘する。同氏は、「携帯電話サービスを手掛けていない通信事業者でも、携帯電話会社と同等レベルのサービスを提供できる可能性がある」としており、現在アンライセンス周波数帯で事業を行っている企業が、携帯電話会社にとって将来的に脅威になり得ると指摘した。
Bolaria氏は、「技術的に見て、3GPPが、同プロジェクトに加盟していない事業者に対して、LTE-Uの使用をどのように禁止できるのか分からない。結局はLTE-Uは公的に入手可能な規格だ」と付け加えた。だが、メモで提案されたように、「携帯電話サービスを手掛けていない通信事業者によるLAAの使用は、3GPPのRelease 13ではサポートしない」ということを意図的に示すことで、Wi-Fi Firstを手掛ける事業者やケーブル事業者が、将来的にLTE技術を用いて行うサービスがどんなものであれ、「規格に準拠していない」と暗に宣言することになるという。
Bolaria氏によると、要するに「携帯電話ネットワークを持つ通信事業者は、Wi-FiがLTEのように機能することを恐れている」ということである。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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