Bluetooth市場は、今後も高い成長率が見込まれている。Bluetooth SIGが2015年4月に発表した、「Bluetooth Developer Studio」を使えば、Bluetooth対応機器を短期間に開発できるという。数千ページもの仕様書を確認する作業から、ようやく解放されることになりそうだ。
Bluetooth SIGは2015年4月に、Bluetooth対応機器の開発ツール「Bluetooth Developer Studio(β版)」を発表した。これによって、最大70%開発時間を短縮できるとしている。誰でも無償でダウンロードが可能だ。
スマートフォンの普及やウェアラブル端末の台頭で、Bluetooth市場が堅調に伸びている。その市場は巨大で、Bluetooth SIG(Special Interest Group)によれば、Bluetoothを搭載する機器の台数は2015年には31億個、2019年には44億個に上るという。Bluetooth SIGのメンバー企業は現在、2万6000以上に上り、特にアジア太平洋地域(APAC)の企業が増えている。
とりわけ、Bluetooth SIGは、スマートフォンやウェアラブル端末を含む、IoT(モノのインターネット)機器に焦点を当ててきた。2014年12月に策定された最新規格「Bluetooth 4.2」では、IPv6および6LoWPANを介して、機器を直接インターネットに接続できるようになっている。さらに2015年1月には、理論的にはほぼ無数の機器を接続できるメッシュネットワークの実用化に向け、ワーキンググループ(WG)「Smart Mesh WG」を立ち上げた*)。
*)関連記事1:最新規格「Bluetooth 4.2」発表、セキュリティと転送速度が向上
関連記事2:Bluetooth SIGが「Smart mesh WG」を立ち上げ、機器接続数の拡大に向け
だがBluetooth SIGは、意外なことに、Bluetooth対応機器を簡単に開発できるようなツールの提供は行ってこなかった。サンプルやチュートリアルといったコンテンツは以前からダウンロード可能だったが、自分が作りたいものを開発できる総合的なツールはなかったのである。Bluetooth SIGのテクニカルプログラムマネージャーを務めるVincent Gao氏は、「Bluetoothの仕様書は4000ページ以上に上る。より速いスピードで商品化が求められている中、規格を1つ1つ確認していくのは膨大な作業になる」と話す。
そこで準備したのが、Bluetooth Developer Studioだ。まず、欲しい機能に合わせて必要なプロファイルをドラッグ&ドロップで選ぶ。さらに、使用する開発ボードに合わせてプラグインを選択すると、自動的にソースコードが生成される。ソースコードはC言語やJavascriptなどで生成されるが、どの言語で生成するのかは自分で選択する必要がある。なお、プラグインは開発者自身が作ることも可能だ。このソースコードをコンパイルし、開発ボードに実装すれば評価の段階に進める。Bluetooth Developer Studioでは、サーバ側およびクライアント側で仮想的に評価する方法と、Bluetooth Developer Studioと基板を接続して物理的に評価する方法がある。Gao氏は、「Bluetooth Developer Studioは、必要な機能を見つけて組み合わせるという、『LEGO』ブロックのような感覚で機器を開発できるツールだ。機器によっては「ものの15分で開発することも可能になる」と説明する。
Bluetooth Developer Studioは、Bluetooth 4.2に対応するが、前のバージョンとも互換性はある。現在は英語版のみとなっているが、ローカライズも検討中とのことである。
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