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5G規格策定は今冬に開始、ようやく一歩前進実地試験は早ければ2016年にも(1/2 ページ)

5G(第5世代移動通信)が、ようやく実用化に向けて動き出そうとしている。デモや試験、仕様に関する取り組みが、今後数カ月以内に開始される予定だという。規格策定は、2015年12月に開始される見込みだ。

» 2015年07月15日 11時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]

 次世代移動通信である5Gが、研究段階から一歩進むための準備が着々と進みつつあるようだ。サービスの実用化は2020年以降になる見通しだが、デモや試験、仕様に関する取り組みなどは全て、今後数カ月以内に開始される予定だという。

 3GおよびLTE規格の策定を手掛ける3GPPは、2015年12月に、5G規格の策定に向けた取り組みを開始する予定だという。まずは、6GHz以上の周波数帯の利用に向けて、チャネル性能のモデリングを行う。多くの企業が既に、規格の重要部分に関するアイデアを持っているという。最終的に規格が策定されるのは、2018年頃になる見通しだ。

 早ければ2016年にも、実地試験が開始される。こうした試験を段階的に積み重ねていき、2018年に韓国の平昌(ピョンチャン)で開催予定の冬季オリンピックにおいて、5Gネットワークの暫定規格版における、最初の本格的な公開デモを実施する予定だという。

5G開発を進める上での4つのポイント

photo Nokia NetworksのPeter Merz氏

 Nokia Networksの無線システムリサーチ部門を率いるPeter Merz氏は、「2015年は、研究段階から標準化への移行期間になるとみている」と述べる。同社は既に、優れた5Gインタフェースに関する独自コンセプトを作成しているという。

 5Gデモの対象は現在のところ、単独の技術のみに限定されている。ただし、スペインバルセロナで2016年2月22日〜25日に開催予定の「Mobile World Congress(MWC)2016」では、ベンダー各社がさまざまな種類の5G技術を披露することになるだろう。それに向けて、研究開発が進められているところだ。

 5Gは、さまざまな新しい性能を提供することができると期待されている。例えば、最大データ伝送速度は約10Gビット/秒あるいは20Gビット/秒といわれている。ただしこれは、過密状態にある都市エリアに限定されることになるだろう。また、30〜300GHzのミリ波/センチメートル波でも動作可能である他、1ミリ秒または数百マイクロ秒の低遅延でM2M(Machine to Machine)ネットワークをサポートできるなど、産業オートメーションに新たな性能を提供することが可能になる。こうした特長から、SDN(Software-Defined Network)やネットワーク仮想化などをはじめ、幅広い使用例をサポートできるようになる見込みだ。

 Merz氏は、以下の点をベースとして取り組みを進めるべきだと主張する。

  • OFDM(直交周波数分割多重方式)波形と、アンペアード(不対)帯域を使用したアクセス方式
  • 3〜40GHzの周波数帯域
  • ダイナミックなタイムシフトによる、柔軟性の高いアップリンク/ダウンリンクの作成
  • サービスにおいて低遅延が求められる場合に、端子に素早く信号を送ることが可能なコントロールチャネル

 さらにMerz氏は、「上位互換性を備えることが不可欠だ」とも指摘する。

 また同氏は、「大手基地局プロバイダ各社は、欧州のMETIS(Mobile and wireless communications Enablers for the Twenty-twenty Information Society)プロジェクトにおいて、無線インタフェースに関するさまざまな独自アイデアを打ち出している。さらに、一部の通信事業者も、独自のアイデアを持っているようだ」と述べている。

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