続いて、ノーベル物理学賞受賞者でカリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授を務める中村修二氏が登壇。「高効率青色発光ダイオードの開発とその後」と題して招待講演を行った。
中村氏は、照明の歴史やLEDの基本構造、発光効率の推移などについて述べた後、InGaNベースLEDの応用市場について触れた。「携帯電話/スマートフォンなどに搭載された液晶ディスプレイのバックライトとして採用されたことが需要拡大のけん引力となった」と語った。その後は液晶TVのバックライト用途にも採用された。現在は自動車のヘッドランプ用途で注目されている。対向車にまぶしくないようにライトの光を制御できるからだという。
中村氏は、米国カリフォルニアにおける節電効果の事例も紹介した。電力消費の中で、照明システムの比率が35%を占めているという。試算によると、2030年までに照明システムのうち約半分がLEDランプに置き換わると、現在より46%も消費電力を削減できるという。これが達成できれば、1000MWの発電所が30基も不要になることを紹介した。
また、世界には15億人が電気のない生活を送っているという。このような地域では照明用にオイルランプを使っており、燃料費として年間150米ドルを消費している。これをLED照明と太陽電池、バッテリを組み合わせた照明システムに換えると、年間の経費は3米ドルで済む。バッテリの寿命が現在の2〜3年から、10年に延びれば経費はさらに1/10に削減できるという。これらの例からも、地球環境に対してLED照明がいかに優しいかが分かる。
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