また、製品の電気的仕様だけでなく、色や形状などデザイン面でも顧客のニーズに対応していく計画である。現行のDARTは、直径8mmの円筒形コンデンサを内蔵しているため、電源回路の厚みはこの部品形状に制限されているが、チップコンデンサを並列に接続して同様の容量を確保することができれば、技術的には表面実装型の電源回路を実現することも可能になるという。
今回発売するACアダプタは出力65Wタイプだが、タブレットPC向けなどで要求があれば、出力45WタイプのACアダプタもカスタム対応していく予定である。また、CEOを務めるVanessa Green氏は、「携帯電話は現在、出力5〜10WタイプのACアダプタが主流となっているが、急速充電に対応するため、出力20〜30Wタイプに移行する可能性が高い」とみており、ターゲット分野の1つとして今後の動向に注目している。
なお、今回のACアダプタは、スイッチング素子にシリコンベースのパワー素子を採用しているが、VHFスイッチング技術は、GaNベースのパワー素子を用いることもできる。Green氏は、「高いスイッチング周波数を用いて電源回路を小型化する技術は他社からも発表されているが、当社の技術は、スイッチング素子にGaNベースのパワー素子を利用することができる設計となっており、もう一段高い周波数でスイッチングすることも可能である」と話した。
日本およびアジア市場における販売代理店となった丸文は、超小型ACアダプタとしての完成品とは別に、出力が100〜300Wの電源モジュールやこれらのキーデバイスである電源モジュール用ICなども販売していく計画だ。FINsix製品をPCやモバイル機器以外でも、液晶テレビや複写機、プリンタあるいはEV/HEVなど、さまざまな電源用途に提案していく。そのための設計支援をはじめとする技術サポート体制も整えていく。これらの展開により、FINsix製品で2018年度には100億円の売上高を目指す。
なお、丸文はFINsixに対して500万米ドルを出資するなど、戦略的パートナーとして資本参加した。この額はFINsix資本の約8%に相当するという。合わせて、丸文より取締役1人を派遣する予定である。
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