Telecommunications Industry Association(TIA)は、世界中の通信事業者58社を対象に、5G(第5世代移動通信)について調査を行った。多くの通信事業者が、5Gでは「完全な商用化は2022年以降」「けん引役はIoT」「開発と導入ではアジアがリード」と考えていることが明らかになった。
4G(LTE)の次世代版である5G(第5世代移動通信)は、新たな用途をサポートするという意味で、あらゆる分野に影響を及ぼすようになるとみられている。5Gは、2020年にアジアを皮切りにサービスが開始される見込みだが、一方で通信事業者は多大な努力を求められるようになるだろう。
Telecommunications Industry Association(TIA)は、世界の通信事業者58社を対象に、5Gの将来に関する世界的な調査を実施した。TIAは18ページにおよぶホワイトペーパーの中で、「新世代のワイヤレス技術をメインストリームにするのは途方もなく大きな取り組みだ。それには、研究開発面での協業、周波数の決定、ビジネスケース(投資対効果検討書)などが必要になる」と記した。
TIAの調査を通じて、5Gにおいては、用途とビジネスモデルの確立が重要であることが分かった。回答者の76%はブロードバンドの高性能化が5Gを後押しすると回答した他、74%が主なけん引役としてモノのインターネット(Internet of Things)を挙げた。タッチインターネットや仮想現実といった、より具体的な使用事例は「それなりに見込まれているようだが、(IoTなどに比べると)全体的に期待値は低かった」という。
調査対象となった通信事業者の91%が、「システムの性能は主に、スモールセルで構築された高密度ネットワークによって向上していくだろう」と回答した。さらに、回答者の55%は、大規模MIMO(Massive MIMO)がネットワーク性能を大きく左右すると考えている。
ホワイトペーパーには、「Massive MIMOは、より高い周波数帯・より幅広い帯域幅において活用することを想定しているのかもしれないが、低い周波数帯にも適用できる。上記の図で上から3番目にある“Device-to-Device(D2D:端末から端末)”は、『5Gでは近接サービスがより重要になる』、『アドホックネットワークやメッシュネットワークの利用が拡大する』といった可能性を示唆している。D2Dは、Vehicle-to-Vehicle(V2V)や公衆安全、民生機器といった分野で役立つ可能性がある」と記されている。
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