メモリ技術のIP(Intellectual Property)事業を柱としてきたRambusが、大きな方向転換を図った。サーバ用メモリインタフェースチップセットを、IPでなく“実際のIC”として提供しようというのである。この動きは、3つの点で重要だと考えられる。
Rambusは、創業25年を迎えた今、本来のルーツであるメモリ技術革新へ回帰しようとしている。
同社は2015年8月10日(米国時間)、サーバ用メモリインタフェースチップセット「RB26」を発表した。エンタープライズ向けサーバやデータセンターという、帯域幅と容量を劇的に高めることが求められる成長市場において、チャンスをつかむことに成功したのだ。
同社によると今回の新製品は、RDIMM/LRDIMM*)に向けた高性能DDR4サーバメモリチップセットだという。
*)RDIMM=Registered Dual In-line Memory Modules、LRDIMM=Load Reduced Dual In-line Memory Modules
今回のRambusの動きは、以下の3つの観点から非常に重要だと考えられる。
1つ目は、同社にとって、今回初めてファブレスチップ市場に参入することになるという点だ。Rambusは新型チップセットに関して、これまでのようにIP(Intellectual Property)ライセンスを供与するつもりはないとしている。同社のバイスプレジデントであり、メモリ/インタフェース事業部門担当チーフテクノロジストを務めるEly Tsern氏は、EE Timesのインタビューに対し、「Rambusは今後、半導体チップの設計から製造、販売に至るすべての活動に携わっていくつもりだ」と述べている。
2つ目は、Rambusが今回、サーバ市場における他の大手半導体プレイヤーたちの、“競合”ではなく“パートナー企業”として同市場に参入したという点だ。
Tsern氏は、「当社は今回、Intelをはじめとする大手CPUメーカー各社の他、Samsung ElectronicsやSK Hynix、Micron Technologyなどメモリチップメーカー各社による後押しを受けた」と述べている。Rambusは10年以上前に、これらのメーカーとの間で訴訟関係にあったが、今やそれとは正反対の状況になったと言える。
そして3つ目は、Rambusが今回の動きを「Rambus 3.0 ビジネスモデル」とみなしているという点だ。同社はここ数年間、自社のIP/技術ライセンス事業を、照明や暗号化技術などの新しい分野へ展開していく取り組みを進めてきた。
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