Juliussen氏は、「自動運転車の時代を迎えると、ドライバーや同乗者にコンテンツ/情報を提供するビジネスは、劇的な変化を遂げるだろう。それがどういった変化であるかは、興味深いところだ。Appleはパッケージ全体の開発を得意としている。特に、UI(User Interface)は秀逸だ。だが皮肉なことに、ドライバーのいない自動運転車にはUIは必要ない」と指摘している。
「自動運転車がどのように進化するのか、いつ本格的に普及するのかについては、まだ不透明だ。だが、自動運転車に求められる機能を見極めるために、Appleが自動車産業についてより多くの知識を求めているということは確かだ」(同氏)。
Juliussen氏は、「報道されている情報を見る限り、Appleは間違いなく、今後の製品に求められる機能が何かを判断できる専門知識を蓄積しつつある」と付け加えた。
もしAppleの自動車市場向けの戦略が、CarPlayの機能向上や、ドライバー向け情報サービスの開発だとすれば、それは現在の同社の車載ビジネスと何ら変わりはない。
ではなぜ、Appleは自動車エンジニアの雇用を続けているのだろうか。
Appleが新たな人材を次々に集めているという報道が続いている(参考)。Appleは、電気自動車向けバッテリーメーカーであるA123 Systemsの技術者らを引き抜いた他、電気自動車メーカーTesla Motorsのシニアエンジニアや、かつてVolkswagenで自動運転を専門に手掛けていたエンジニア、NVIDIAでコンピュータビジョンソフトウェアを開発していたエンジニア、スイスのSwiss Federal Institute of Technology(チューリッヒ工科大学) Autonomous Systems Labで経営幹部を務めた経歴を持つ人物なども引き抜いている。これらの報道は全て、2015年に入ってからのものだ。2014年には、自動車メーカーのBMWやVolkswagen、Ford Motor、Delphi Automotive、Robert Bosch、TRW Automotiveなどからも人材を獲得したという。
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