ルネサスでは、R-Car W2Rをベースに、パワーアンプやフィルタ、アンテナスイッチなど外部部品と組み合わせた評価用小型モジュールも製品化。さらにこの小型モジュールと車載情報端末用SoCである「R-Car E2」など、V2Xシステムに必要なハードウェアとファームウェア一式を備えたスタータキットもそろえ、R-Car W2Rのサンプル出荷とともに販売する。
ルネサス第1ソリューション事業本部ADASソリューション部長の伊賀直人氏は「外付け周辺回路などは高度な設計ノウハウが必要になる。小型モジュール、スタータキットともに、そのままクルマに組み込めるような小型サイズに仕上がっている。小型モジュール/スタータキットにより、ユーザーにアプリケーション開発に集中できる環境を提供できるだろう」とした。
ルネサスは、R-Car W2Rの拡販とともに、V2Xの普及促進に向けた業界団体の活動に積極的に参加していく方針で、既にR-Car W2Rを使った実証実験などにも着手。「フィールドテストでは、相対速度200km/hのクルマ同士の通信も、およそ700mの車車間距離から通信を確立しデータ交換できることを確認した」(同社)としている。
伊賀氏は、「2020年ごろには米国などで、V2Xの搭載義務化などの法整備が進む見通しであり、V2X向けLSI需要も拡大するだろう」と見込んでいる。なお、国内の760MHzに対応したV2X用無線LSIについては「詳細は明かせないが、現在、開発中」とした。
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