ソシオネクストは、慶應義塾大学と共同で、24GHz電波センサーモジュールを使った非接触型のまばたき検知センサーシステム(試作)を開発した。ディスプレイを凝視することなどで起こるドライアイの予防システムや、自動車の居眠り運転防止装置などへの応用を目指すという。
ソシオネクストは、慶應義塾大学理工学部大槻研究室と共同で、ソシオネクスト製小型24GHz電波センサーを用いたまばたき検知センサーシステムの試作品を開発した。2015年10月7〜10日に千葉市で開催された展示会「CEATEC JAPAN 2015」(シーテック ジャパン)で公開した。
ソシオネクストの24GHz電波センサーは、CMOS技術を駆使し、周波数制御可能な送信機と高感度な受信器をワンチップで形成したRF LSIとアンテナを組み合わせたモジュール形状のセンサー。最大の特長は、CMOSワンチップRF LSIを生かした12×7×1mmという小さなサイズだ。「24GHz電波を使用したセンサーは多くあるが、これほど小さなサイズを実現したモジュールは他にないはず」(同社)とする。
もともと同センサーは、ディスプレイの照度などを調整するための人感センサーとして家電などに埋め込む用途を想定して開発された。光を使った人感センサーでは、筐体に穴を空ける必要があるが、24GHz電波センサーではその必要がなく、デザイン性を損なわないといった特長がある。
ただ、24GHz電波センサーを開発後、ヘルスケア分野で注目を集めている。微細な振動を検知でき、非接触で心拍をセンシングできることから、ベッド上の人の異常などを検知する見守りセンサーとしての応用が期待され、ソシオネクストも24GHz電波センサーを使った見守りセンサーをこれまで開発してきた。
今回、CEATEC 2015で参考展示した、まばたき検知センサーシステムは、ヘルスケア分野での新たな応用方法を提示するものとして開発されたもので、1〜2年後の実用化を目指している。
人のまばたきの検知は、心拍の検知よりも難しいという。人の目では分からない体の表面のわずかな振動を検知する24GHz電波センサーは当然、体の表面以外のさまざまな振動も検知する。そこで、特定の信号だけを抽出するため、フィルタリングを行う。「心拍であれば、おおよそ1秒間60回など、ある程度一定周期のためフィルタリングは比較的行いやすい。一方で、まばたきは、ランダムに発生するためにまばたきに伴う振動だけを取り出すことが難しい」(同社)という。
電波センサー関連の信号処理技術の開発を進める慶応大大槻研究室と共同で、まばたきの検知を可能にした。
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