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ペロブスカイト太陽電池、効率と信頼性を向上低コストの太陽電池、実用化に一歩近づく(1/2 ページ)

物質・材料研究機構(NIMS)太陽光発電材料ユニットの韓礼元ユニット長らの研究グループは、ペロブスカイト太陽電池で高い発光効率と信頼性を両立する技術を開発した。

» 2015年11月05日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 物質・材料研究機構(NIMS)太陽光発電材料ユニットの韓礼元ユニット長らの研究グループは2015年11月、ペロブスカイト太陽電池で高い発光効率と信頼性を両立する技術を開発したことを発表した。1000時間の光連続照射テストもクリアした。

 ペロブスカイト太陽電池は、一般的なシリコン系太陽電池よりも製造コストを安価にできる可能性が高いことから、注目されている技術の1つである。しかし、実用化に向けてはセル面積の拡大と信頼性の向上が課題となっている。

ペロブスカイト太陽電池の構造 出典:NIMS

 研究チームは、電子抽出層とホール抽出層に用いる材料を変更することで課題解決に取り組んだ。これまでは低分子材料またはポリマー材料といった有機材料が主に用いられてきた。ところがこれらの材料が、光に長時間さらされると壊れやすくなるなど、信頼性の低下につながっていた。

 今回は、電子抽出層に酸化チタン(TiO2)、ホール抽出層に酸化ニッケル(NiO)を用いるなど無機材料に変更した。ところが、これらの無機材料は電気抵抗が高いため、変換効率を高くするには層の厚みを数ナノメートルまで薄膜化する必要がある。しかし、セル面積が拡大すると、膜厚を均一化するのが難しく、ピンホールなどの欠陥が増えて変換効率が低下するため、特性の改善は容易ではなかった。

 そこで研究チームは、電子抽出層にニオブイオン(Nb5+)、ホール抽出層にリチウムイオン(Li+)とマグネシウムイオン(Mg2+)を高濃度で添加して、導電性を向上させた。この結果、膜厚10〜20nmという比較的厚い層を用いることが可能となり、大面積にしてもピンホールが極めて少ない層を形成することができた。

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