TDKは、CFastカード形状の産業用SSD「CAS1Bシリーズ」の発売を2016年1月から開始すると発表した。同製品は、SATA Gen3に対応したNAND型フラッシュメモリ制御IC「GBDriver GS1」を搭載。信頼性を確保するとともに、高容量かつ堅牢なカード形状を実現したという。
TDKは2015年11月16日、CFastカード形状の産業用SSD(Solid State Drive)「CAS1Bシリーズ」を開発したと発表した。同製品は、SATA Gen3(転送速度:6Gビット/秒)に対応したNAND型フラッシュメモリ制御IC「GBDriver GS1」を搭載。産業用途向けの信頼性を確保するとともに、高容量かつ堅牢なカード形状を実現したという。
CAS1Bシリーズは、2016年1月より販売を開始する。生産は台湾で行われ、月産1万個を予定。価格は容量などによって異なるため、個別対応としている。
近年、産業用SSDは高い信頼性だけでなく、OSの高容量化に伴い10G〜30Gバイトといった大きな容量を持つことが求められている。しかし、同社は「高容量のSLC(Single Level Cell)となると、価格がとても高くなってしまう」と語る。高容量化のためには、MLC(Multiple Level Cell)に対応した産業用SSDが展開されているが、「データの格納以外は、MLCだと信頼性といった視点で厳しい」(同社)という。
そこで、同社は今回新しく開発したGBDriver GS1を搭載。従来シリーズから存在するリカバリーやリフレッシュ機能に加えて、MLC、pSLC(Pseude Single Level Cell)フラッシュ*)を搭載した場合でも、データの信頼性を確保したという。また、従来シリーズよりも、約3.2倍の読み出し、約1.9倍の書き込み性能を実現したとしている。
*)pSLCフラッシュは、MLCより耐久性に優れ、SLCより容量あたりのコストを抑えられる。
さらに、CAS1Bシリーズは内部電源バックアップ回路を標準搭載。書き込み中の電源遮断時に書き込み対象以外のデータが破壊されることを阻止してくれる。同社は、「従来は、内部電源アップ回路を搭載するスペースがなかったが、今回は回路の設計を工夫することで実現できた。当社は、GBDriver GS1のチップもモジュールも自社で設計を行っているため、回路設計の工夫ができたと考えている」と語った。
セキュリティ面では、従来シリーズで対応していた「AES 128bit」に加えて、「AES 256bit」に対応した。なりすましなどの第三者によるアクセス、応答を制限することができる同社独自のセキュリティ機能も実装している。
なお、CAS1Bシリーズは、2015年11月18〜20日にパシフィコ横浜で開催される「組込み総合技術展/Embedded Technology 2015(ET2015)」&「IoT Technology 2015」(主催:一般社団法人 組込みシステム技術協会)のTDKブースで展示される。
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