欧州において5G(第5世代)の技術開発を推進する5G PPP。議長を務めるWerner Mohr氏は、5Gの課題は、技術的な面よりも政治的な面にあるという。要件が複雑な5Gでは、どの技術を採用するかなどについて、関連各社や各研究所のコンセンサス(意見の一致)を得るのが非常に難しいと同氏は語る。
5G PPP(5G Infrastructure Public Private Partnership)は、2013年12月に発足した5G(第5世代移動通信)推進団体だ。EU(欧州連合)による800億ユーロ規模の研究開発プロジェクト「Horizon 2020」の一環として進められている。5G PPPは、2014〜2020年にわたる7カ年プロジェクトで、予算としては7億ユーロが割り当てられている。5G PPPの議長を務めるWerner Mohr氏は「非常に大きなプロジェクト」と強調する。
5G PPPでは、5G実現に向けた技術開発プロジェクトを、フェーズ1〜3までの3段階に分けて実施する。フェーズ1では、19件のプロジェクトが2015年7月にスタートした。応募があった75件の研究プロジェクトから、厳正な審査を経て選ばれたものだ。フェーズ2は2017年に、フェーズ3は2019年に始まる予定となっている。
フェーズ1の19件のプロジェクトは、フロントホールとバックホール向けの技術、RFフロントエンドやアンテナ、A/DコンバータやD/Aコンバータといったハードウェアの設計技術、SDN(ソフトウェア無線)やNFV(ネットワーク機能の仮想化)、ネットワークオートメーション、セキュリティといった分野をテーマにしたものだ。プロジェクトとして行った研究開発の成果は、5G規格を策定する3GPPなどに提出される。つまり、5Gの仕様として採用される可能性もあることになる。
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