セッション20(キャラクタライゼーション、信頼性、歩留まり)のサブテーマは、「トランジスタの経年変化とばらつき、そして回路設計への影響」である。
TU Wienを始めとする共同研究グループは、pチャンネルMOSFETの経年劣化であるNBTI(Negative Bias Temperature Instability)のパーマネント成分を詳しく調べた結果を発表する(講演番号20.1)。NBTIには、劣化が回復するリカバラブル(recoverable)成分と、劣化が残るパーマネント(permanent)成分がある。リカバラブル成分についてはこれまで詳しく調べられてきた。しかしパーマネント成分は時定数が極めて長い、リカバラブル成分に隠れてしまう、といった問題があり、詳しく解析することが難しかった。この研究では、パーマネント成分を定義する実用的な手法によって微細加工寸法の異なる数多くのデバイスに関して長期間にわたって膨大なデータを収集した。その結果、パーマネント成分のバイアス依存性はリカバラブル成分に類似であること、酸化物のトラップよりも界面のトラップがパーマネント成分の主因であること、デバイス寿命に対してはパーマネント成分は支配的ではないこと、などの知見を得た。
Purdue Universityは、極薄アクティブ層のSOIデバイス(ETSOIデバイス)における短チャンネル効果の制御とホットキャリア劣化の本質的なトレードオフを論じる(講演番号20.3)。ETSOIのFETではホットキャリア劣化がアクティブ層の高温化とホットキャリアの2つの要因によって決まるため、バルクのMOS FETで適用してきた古典的な理論が当てはまらないとする。
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