センサーを利用した装置のモニタリングでは、膨大な量のデータが生成され、既にネットワークをひっ迫している。ルネサス エレクトロニクスは、同社の産業機器向け高速データ処理/通信エンジンである「R-IN」と人工知能を組み合わせ、それをエッジデバイス(工場の装置や機器)に搭載することで、この課題を解決しようとしている。
インダストリー4.0(第4次産業革命)では、工場をスマート化すべく、生産工場内の装置や機器の稼働状況を把握すべく、これらの機器にさまざまなセンサーが搭載されるようになる。これにより、工場の稼働に関連するコストダウンや新しいビジネスモデルの登場などが期待されている一方で、センサーを搭載するが故の課題も生まれている。生成される膨大な量のデータだ。
現在のシステムでは、装置や機器(エッジデバイス)に搭載したセンサーのデータは、エッジデバイスがつながるマスターデバイス(PLCやCNC)に送信される。だが、膨大な量のデータはネットワークをひっ迫させ、マスターデバイスに送信することすらほぼ不可能にする。これを解決するにはデータを減らすしかないが、これでは、「データを増やして(=機器にセンサーを取り付けて)不具合などの事象を見つける」という本来の目的とは逆行することになる。ルネサス エレクトロニクスで第二ソリューション事業本部 産業第一事業部長を務める傳田明氏は、この“板挟み”を解決しなければ、「インダストリー4.0はうまくいかないのではないか」と話す。「問題は末端部分、つまりエッジデバイスにあるので、われわれデバイスメーカーが解決策を提案すべきだと思っている」(同氏)。
ルネサスが提案するのは、まず、エッジデバイスのところでデータをより分けることだ。必要なデータだけがマスターデバイスにアップロードされることになる。
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