“双子の水晶”で高精度化――日本電波のOCXO : MWE 2015 (2/2 ページ)
多機能のVCXO(電圧制御水晶発振器)として、13MHz〜2100MHzの間で任意に周波数を設定できる製品などを参考出品した。日本電波工業によれば、「精度は求めないので、任意に周波数を設定できるものを、というニーズが多かった。従来は300MHz、600MHzといったように(動かす機器に合わせて)専用の水晶を作らなくてはならなかった。周波数が任意に設定できれば、こうした手間を省くことができる」と説明する。周波数が1.0GHz〜2.2GHzのVCSO(電圧制御SAW発振器)も展示した。光通信などの用途に向ける。
2015年11月19日に発表したばかりの、水晶振動子を内蔵したジッタアッテネータICも展示した。従来、ジッタアッテネータICでは水晶振動子が外付けされていたが、「水晶振動子とICの間には、実は“相性”がある」と日本電波工業の担当者は説明する。この2つをきちんと合わせ込まなければ、ICが正しく動作しない場合があるのだ。「ICを正しく動かすために、そのICが実装された基板ごと顧客から借りて、水晶振動子とマッチングさせていた」(同担当者)。コストダウンのために、発振器ではなく振動子を使いたい場合、こうした作業の手間が省けるのは大きなメリットになる。
左=任意に周波数を設定できるVCXO(上の2種類)と、周波数が1.0〜2.2GHzのVCSO / 右=水晶振動子を内蔵したジッタアッテネータIC(クリックで拡大)
日本電波工業 技術統括本部 第二技術部 第一課で主任技術員を務める細田朋之氏によれば、水晶の分野では近年、台湾メーカーが力を付けているという。徐々にシェアを伸ばしている台湾メーカーなどに打ち勝つには、ツインOCXOのような独自技術で高精度化/小型化を進めるといったように、明確な差異化要因が必要だとしている。
ハイレゾ音源を極める“15万円の水晶発振器”に迫る
日本電波工業がこのほどサンプル出荷を開始した水晶発振器「DuCULoN」(デュカロン)。デジタルオーディオ音源を忠実に再現させるため、技術の粋を集め測定限界まで位相雑音を減らしたという1個15万円という異色の水晶デバイスに迫った。
“なんとなく”じゃない! ビールのコクが分かるクリスタル
日本電波工業は、「CEATEC JAPAN 2013」(2013年10月1日〜5日、幕張メッセ)で、サッポロビールと共同で開発している、ビールの味を定量的に評価する味覚センサーシステムを公開した。ピコグラムレベルの微少な重さが計測できる水晶の性質を利用し、ビールに含まれる「コク」につながる味成分の量を測定し、「コク」を数値化する。将来的には、ビールの「キレ」も測定できる見込みの他、さまざまな飲料の味成分を数値化できる可能性があるという。
7月の国内電子部品メーカー出荷、前年比13%増
電子情報技術産業協会(JEITA)は、2015年7月の日本メーカーによる電子部品の世界出荷額を発表した。世界出荷額は前年同月比13.0%増の3463億円となり、受動部品、接続部品などが前年同月比と比べて伸びた。品目別では、高周波部品が前年同月比51%増の392億円と伸びが著しい。
第2回 水晶を発振器に使う5つの理由
タイミングデバイスとして、水晶デバイスが広く使われているのには、「特性が変化しにくく、均一で安定した高品質材料を確保できること」といった水晶材料の特性に理由があります。
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