多機能のVCXO(電圧制御水晶発振器)として、13MHz〜2100MHzの間で任意に周波数を設定できる製品などを参考出品した。日本電波工業によれば、「精度は求めないので、任意に周波数を設定できるものを、というニーズが多かった。従来は300MHz、600MHzといったように(動かす機器に合わせて)専用の水晶を作らなくてはならなかった。周波数が任意に設定できれば、こうした手間を省くことができる」と説明する。周波数が1.0GHz〜2.2GHzのVCSO(電圧制御SAW発振器)も展示した。光通信などの用途に向ける。
2015年11月19日に発表したばかりの、水晶振動子を内蔵したジッタアッテネータICも展示した。従来、ジッタアッテネータICでは水晶振動子が外付けされていたが、「水晶振動子とICの間には、実は“相性”がある」と日本電波工業の担当者は説明する。この2つをきちんと合わせ込まなければ、ICが正しく動作しない場合があるのだ。「ICを正しく動かすために、そのICが実装された基板ごと顧客から借りて、水晶振動子とマッチングさせていた」(同担当者)。コストダウンのために、発振器ではなく振動子を使いたい場合、こうした作業の手間が省けるのは大きなメリットになる。
日本電波工業 技術統括本部 第二技術部 第一課で主任技術員を務める細田朋之氏によれば、水晶の分野では近年、台湾メーカーが力を付けているという。徐々にシェアを伸ばしている台湾メーカーなどに打ち勝つには、ツインOCXOのような独自技術で高精度化/小型化を進めるといったように、明確な差異化要因が必要だとしている。
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第2回 水晶を発振器に使う5つの理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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