カンファレンス3日目に行われるセッション30では、オリンパスが、可視光と赤外光を同時に別々の画像として撮像するマルチバンド・イメージセンサーについて講演する。セッション31では、シリコン基板上にIII-V族化合物デバイスを作成する、次世代の電子デバイスや光デバイスについての発表が相次いで行われる。
2015年12月に開催予定の国際学会「IEDM 2015」から、カンファレンス3日目(最終日)である12月9日(水)の午前に予定されている一般講演セッションを解説する。9日午前の時間帯には、セッション25からセッション31までの7本のセッションが同時並行に進む。
前回は、セッション27からセッション29までの講演を説明した。今回はセッション30(ディスプレイとイメージング)とセッション31(パワーデバイスと化合物デバイス)の講演をご紹介しよう。
セッション30(ディスプレイとイメージング)のサブテーマは「最先端の撮像素子と光検出器」である。このセッションでは、日本による最先端イメージセンサー技術の発表が続出する。
オリンパスは、可視光と赤外光を同時に別々の画像として撮像するマルチバンド・イメージセンサーの開発成果を発表する(講演番号30.1)。可視光センサー層(光が最初に入射する、赤外光は透過)の下に赤外光センサー層を積層した。ベイヤー配列の色フィルタを備えた赤緑青(RGB)色の画像と、赤外光の画像を同時に撮影したときに、色感度の劣化は生じていない。製造技術はCMOSである。
パナソニックは、有機光導電フィルムを利用したサブミクロン画素のイメージセンサーを報告する(講演番号30.2)。光導電フィルムの電界を空間と時間で制御することで、サブミクロンサイズの画素に対してグローバル・シャッタ動作を実現した。NDフィルタなしでの電子絞り機能と、位相差方式の自動焦点合わせ機構も備える。
NHK放送技術研究所と高知工科大学の共同研究グループは、有機光導電フィルムを利用したカラーイメージセンサー技術を解説する(講演番号30.3)。3層式の光電変換部と読み出し回路を集積することで、小型のカラービデオカメラを実現可能にした。
NHK放送技術研究所とパナソニック、兵庫県立大学の共同研究チームは、塩素をドープした多結晶セレン(Se)を光導電体とするCMOSイメージセンサー技術を発表する(講演番号30.7)。多結晶Seの結晶粒サイズが固定パターン雑音と強く相関していることを示す。結晶粒を制御することによって鮮明な撮影画像を得た。
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