13回にわたりお届けしてきたIEDM 2015のプレビューは、今回が最終回となる。本稿ではセッション32〜35を紹介する。折り曲げられるトランジスタや、電子のスピンを利用した論理回路、疾患を素早く検知する人工知能ナノアレイ技術などに関連する研究成果が発表される。
2015年12月に開催予定の国際学会「IEDM 2015」から、カンファレンス3日目(最終日)である12月9日(水)の午後に予定されている一般講演セッションを解説する。9日午後の時間帯には、セッション32からセッション35までの4本のセッションが同時並行に進む。本稿では、セッション32(ナノデバイス技術)とセッション33(センサー、MEMSとBioMEMS)、セッション34(モデリングとシミュレーション)、セッション35(パワーデバイスと化合物デバイス)の、午後の講演セッションを全てご紹介しよう。
セッション32(ナノデバイス技術)のサブテーマは「CMOS技術を超えて」である。このセッションでは、2次元材料やカーボンナノチューブ、スピン論理といった従来のシリコンCMOSとは異なる材料や原理に基づくデバイスの研究成果が披露される。
The University of Texas at Austinは、2次元材料を用いた折り曲げ可能な高周波トランジスタの開発成果を公表する(講演番号32.1)。グラフェンの高周波トランジスタを折り曲げ可能なガラス基板に形成した他、二硫化モリブデン(MoS2)の高周波トランジスタと黒リン(Black P)の高周波トランジスタを折り曲げ可能なポリイミド基板に作製してみせた。
imecとEPFL、Intelの共同研究グループは電子のスピンを利用した論理回路(スピン論理)の研究開発状況を概観する(講演番号32.5)。スピン論理には、不揮発性である、動作時の消費電力が極めて低い、少ない素子数で回路を構成できる、といった利点が存在する。特に、多数決論理を少ない素子数で構築できる点に注目した。講演では、スピントルクの多数決論理ゲートとスピン波の多数決論理ゲートを比較する。
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