2015年12月7〜9日に開催された「IEDM 2015」の基調講演で、ARMのシニアリサーチャーであるGreg Yeric氏は、「半導体チップの微細化は一段と困難になっているが、それでもムーアの法則を続ける必要がある」と語った。
米国ワシントンD.C.で2015年12月7〜9日、最先端電子デバイスの国際学会「IEDM 2015」が開催された。ARMのシニアリサーチャーであるGreg Yeric氏は、同会場で基調講演を行い、「半導体チップの小型化と高速化の実現は、一段とコストが高く困難になってきているが、それでもムーアの法則は今後も続いていくと期待される」と主張した。同氏は、バランスの取れた幅広い内容の講演を行い、さまざまな技術や今後の課題について詳細を語っている。
同氏は、IEDM向け論文の中で、「半導体業界は今後、技術的な複雑性への対応や、技術設計/システムの最適化など、ありとあらゆる幅広い分野全体にわたり、ムーアの法則を同等に進めていく必要がある」と述べている。
また、「電力制限や寄生容量、コストなど、設計上の限界に関する問題を解決するには、さまざまな対策を施すことで、規模の経済を弱めていく必要がある。“コスト対利益”を考えることは、今後ますます難しくなると思われる」と語った。
中でも、特に問題が生じる可能性があるのが、メモリ分野だという。さまざまな用途において、求められるメモリの容量とレベルが急激に拡大しているが、DRAMの微細化は終えんに近づきつつあるからだ。
Yeric氏は、メモリと論理回路を積層するチップスタックへの移行を提案している。これは、既存の代替メモリアーキテクチャの中でも、最も有望視されている手法だという。
さらに同氏は、ReRAM(抵抗変化型メモリ)とPCM(相変化メモリ)の物理的性質によって、主にメインメモリに求められる密度/耐久性レベルが制限される可能性がある。MRAM(磁気メモリ)は、耐久性に優れているため、もし電力向上とコスト削減を実現することができれば、計算メモリの有力候補になると考えられる。しかし、読み取りマージンや誤書き込みなどの問題が存在するため、達成できる記憶密度が制限される可能性がある」と説明する。
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