S6J3350シリーズは、同様に動作周波数が最大240MHzのARM Cortex-R5プロセッサコアをベースとしつつ、CAN-FDを最大8チャネル分サポートしている点が異なる。Ethernet AVBやMediaLB(Media Local Bus)も搭載した。また、最大12チャネルのMFS(Multi-Function Serial)、最大64チャネルの入力に対応できる12ビットA-Dコンバータ、及び最大64チャネルのベースタイマなどを備えている。
S6J3310/S6J3320/S6J3330/S6J3340シリーズとS6J3350シリーズは、内蔵するメモリ容量とパッケージ形状によって型番が異なる。パッケージは144/176/208端子のTEQFPを用意している。すでにサンプル品の出荷を始めた。量産は2016年7月以降の予定である。サンプル価格は15米ドル。
同時に、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)トランシーバー「S6BT11xCXPI」も発表した。CXPIはLIN(Local Interconnect Network)の後継プロトコルとして規格化された。車内のネットワーク構成に必要となるワイヤの本数を削減することができ、部材の軽量化とコストダウンが可能となることから、注目を集めている。
S6BT11xCXPIは、CXPIデータリンクコントローラとBUSライン間のインタフェースを行う。最大20kビット/秒でECU間の通信を行うことが可能である。スリープ/ウェイクアップ制御機能を搭載しており、ノイズや消費電力を低減することができる。入力電圧は12Vに対応しておりバッテリーに直結して使用することが可能だ。製品は8端子SOPでサンプル出荷を始めている。2017年第1四半期(1〜3月)より量産に入る予定である。サンプル価格は4米ドル。
サイプレスでPSD事業部担当のバイスプレジデントを務める赤坂信彦氏は、「車載向けにMCUやメモリ、PSoC、アナログPMICなど幅広い製品ポートフォリオを用意し、広範な用途にワンストップで半導体製品群を提供することができるのが当社の強み」と話す。特に車載用MCUとメモリの事業領域において、世界第3位のサプライヤーである。とりわけ、SRAMやNOR型フラッシュメモリ、不揮発性メモリの分野ではそれぞれトップサプライヤーとなっている。こうした強い競争力を実現しているのは、「これまで注力してきた品質への取り組み」であることを赤坂氏は強調した。
同社の車載向け半導体事業で売り上げ規模が最も大きいのは、現在のところメモリ製品であるが、「今後はMCU事業なども強化していく」(赤坂氏)方針である。この他、車載用途に適したPMIC「S6BP50x」なども用意している。同時に、各種基本ソフトウェア(OS)やアプリケーションソフトウェア、開発環境、開発キットの拡充など、システム統合に必要となるエコシステムの整備を図ることで、顧客へのサポート体制をこれからも強化していく計画である。
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