リニアテクノロジーは2016年1月13〜15日に開催された「国際カーエレクトロニクス技術展」(会場:東京ビッグサイト)で、2020年に市販される自動車への搭載を目指した最新アナログ半導体を紹介。燃料電池監視用ICなど開発中の製品の参考展示も実施した。
「全て市場で売られているECUを購入して展示した」
国際カーエレクトロニクス技術展のリニアテクノロジーブース中央には国内で現在、市販されている自動車に搭載されているという8つのECUを分解し、各ECUに搭載されている基板が並んだ。いずれの基板にも、リニアテクノロジー製アナログ半導体が搭載されている。
「2000年ごろから自動車向けアナログ半導体ビジネスを強化してきた結果、多くのECUに搭載されるようになった実績をあらためてアピールしたかった」と、同社日本法人セールスマネージャの池田整紀氏とその狙いを説明する。その上で、「今回の国際カーエレクトロニクス技術展では、実績ある当社の車載アナログ半導体が、どう進化し、2020年ごろに市販される自動車に対してどのような価値を提供するかを明示するようなブース構成にした」と話し、現状、ECUに搭載されているデバイスそれぞれの後継版/進化版に位置する最新車載アナログ製品の展示を実施した。
その1つがバッテリー監視ICだ。リチウムイオン電池の監視用ICである「LTC6802」は、最大12個のセルを13ミリ秒で測定できる。さらにその測定誤差は最大0.25%と高い精度を誇り、現状のEV(電気自動車)などに搭載されている製品だ。
この実績あるバッテリー監視ICの進化版といえる製品として、現在開発中の「LTC6806」を参考出品した。LTC6806は、2020年に一層の搭載拡大が見込まれる燃料電池の電圧監視をターゲットにしたデバイス。燃料電池はリチウムイオンなど他の電池と異なり、異常時には負電圧を出力するため、正負電圧を幅広く測定するダイナミックレンジを高精度と両立しなければならない。「LTC6806は、そうしたニーズに対応した性能を備える」(池田氏)とし、5V〜負電圧までの電圧検出が可能。36チャンネルを備え、通常1〜2V出力とされる燃料電池セルを1ICで72〜108セル程度監視することができる。なお、LTC6806の製品化時期については「2016年中にサンプル出荷できる見込み」(池田氏)とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.