AndroidによるOSのプラットフォーム化はMicrosoftにも影響を与えた。PC向けでは当時ほぼ独壇場であったWindowsが、新たな上昇気流に乗り遅ることになった。
Microsoftはスマートフォン向けOS「Windows Phone」をリリースし、Androidの追撃を開始する。対応チップセットとしてはAndroidと同じQualcommのチップセットを用いている。図2は国産スマートフォン第1号機「T-01A」(東芝製)である。
T-01Aは当時世界最薄の9.9mm、Qualcommのチップセット「初代Snapdragon」を採用し、現在のスマートフォンのほぼ原形を実現した製品である。2009年に発売され、大きな話題となった。
2005年当時の携帯電話機は各社各様のチップを搭載したが、T-01Aは、独自仕様のチップは一切搭載されず、Qualcommのチップセットがそのまま採用されている。海外の当時のモデルと全く同じ構成であった。その後ソニーエリクソン(当時)から発売されたスマートフォン「初代XPERIA」もQualcommのチップセットがそのまま使われていた。
このQualcommのチップセットは、当時成長著しかった韓国の端末メーカーにもそのまま使われた。Samsung Electronicsのスマートフォン「Galaxyシリーズ」ではほぼ半数の機種に、LG Electronicsのほぼ全機種にQualcommのチップセットが搭載された。
各社各様のチップを作る時代は一気に萎んでいく。多くの3G用チップを手掛ける半導体ベンダーは、チップ事業の売却や統合を繰り返す。「NXP+STMicroelectronic+Ericsson→ST Ericsson」「Nokia →ルネサス モバイル」「NEC+パナソニック→アドコアテック」「Analog Devices→MediaTek」などが2009〜11年までに起こった出来事だ。
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