EETJ 生産技術といえば、2013年5月に先端の自動車向けコネクタの開発から製造までを一貫して行う掛川工場(静岡県掛川市)を稼働させましたが、稼働状況はいかがですか。
上野氏 社内の話で恐縮だが、TEグローバルの製造拠点を対象にした評価システムがある。この評価システムは、品質や納期順守性、効率性などなど多岐にわたり、総合評価として、5段階のスターレベル、星の数で評価が与えられるものだ。この評価システムで掛川工場は2015年に、大規模な量産工場としては全世界で初の五ツ星の最高評価を獲得することができた。
最高評価の獲得は、各評価項目の数値を上回ったからなのだが、そういった数値をクリアするという動機だけでなく、純粋なカイゼンマインドが掛川工場に定着したからこそだと考えている。これも、トヨタ自動車の協力を得て、8年間、トヨタ生産方式を導入したことが大きいだろう。
こうした基本的なカイゼンマインドは維持しつつ、その上で、デジタルファクトリーなどの取り組みも議論を重ね、導入を検討してきたい。
EETJ かなり順調な掛川工場ですが、今後、目指されることはどのようなものでしょうか。
上野氏 もっと、フレキシブルな生産体制を敷きたいと思っている。現状、需要に対し、週7日間のフル稼働を実施している。これを、週6〜6.5日の稼働で、需要に応え、浮いた0.5〜1日をメンテナンスや教育などに活用するような時間を生み出したい。そうすることで、工場として、さらに新たな取り組みが行えるようになり、予定外の急な需要増にも対応できるようになるフレキシビリティーも備わる。
EETJ 2015年には、主に日系顧客向けの自動車用コネクタなどを製造するタイ工場を稼働させました。
上野氏 タイ工場についても、計画通り、順調に立ち上がっている。掛川工場や韓国の拠点で量産を立ち上げた製品をタイ工場へ移管、製造するものが主力ではあるが、2016年後半から2017年にかけて、現地で受注した製品の生産も開始できる見込みだ。
タイ工場は今後も日系自動車メーカーからの受注を中心に伸ばし、順次、生産規模を拡大させる方針だ。
EETJ TEジャパンとして直近のビジネス状況をお聞かせください。
上野氏 2015年度(2015年9月期)は、TEジャパン売上高はほぼ前年並みとなった。自動車事業では、(日本法人以外での売り上げ計上となる)海外移管が増えたこともあり、売り上げ規模自体はほぼフラットとなった。実質的には4〜5%の成長を実現できたと思っており、自動車の販売台数が減った中では健闘したと考えている。
産業機器も年度前半は好調だったが、中国など新興国の景気減速で後半は成長は鈍ったものの、総じて、そう悪くはない年になった。デジタル民生系で、マイナス基調が続いたという感じだ。
EETJ 2016年度の見通しについては、いかがですか。
上野氏 マーケット自体は、自動車がフラット、産業機器/民生機器はややマイナスという具合になるとみている。その中で、TEグローバルとしては前年比1〜3%程度の成長を、TEジャパンとしては3〜4%の成長を計画している。2015年度同様、マーケットを上回る成長を維持したい。
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