IntelとMicron Technologyが開発した「3D XPoint」は、製造の段階へと移る見込みだ。量産には12〜18カ月かかるとみられている。また、3D XPointでは、カルコゲナイド材料と「Ovonyx」スイッチが使われていることが明らかになった。
IntelとMicron Technologyが開発した不揮発メモリ「3D XPoint(クロスポイント)」が、研究開発の段階から製造へと移行するようだ。両社が2006年に設立したベンチャー企業であるIM Flash Technologiesの経営幹部は今回、この最新メモリ技術についてロードマップなどの詳細を明かし、その実用化に向けた道がいかに険しいかを語った。
IntelとMicron Technologyは2015年7月、DRAMとフラッシュメモリのそれぞれの欠点を補うことが可能な新しいメモリアーキテクチャとして、3D XPointを発表した*)。
*)関連記事:IntelとMicronの新不揮発メモリ「3D XPoint」
NAND型フラッシュメモリを大幅に上回る性能と低遅延を実現し、記憶密度も高いと主張している。IM Flash Technologiesの共同CEOであるGuy Blalock氏は、SEMIが主催した「Industry Strategy Symposium(ISS) 2016」において、「3D XPoint技術は、カルコゲナイド材料と『Ovonyx』のスイッチを使用しているという点が、この技術の“魔法”の部分であり、その開発に向けた取り組みの歴史は、1960年代にまでさかのぼる」と述べている。
Blalock氏は、「XPointの量産を実現するには、今後12〜18カ月を要する見込みだ。現在、当社が米国ユタ州レヒ(Lehi)に保有する製造工場において、3D XPointチップと3D NANDフラッシュの製造を進めているが、そこで生じている課題を幾つか取り上げてみたい」と述べた。
Blalock氏は、「われわれは現在、この新製品によってもたらされる未来の実現に向かって、深い海の中を泳ぎ進んでいるような状態にある」と語った。同氏は、3D XPointは間もなくサンプル出荷を開始できる予定だとしながらも、研究開発チームが幾つか残っている問題に対応するにはもう少し時間がかかるとも述べている。
また同氏は、「新材料のマイナス面として挙げられるのが、二次汚染の可能性だ。このようなリスクを軽減するには、何度も拡散やCVD(化学気相成長)しながら積層していかなければならないため、工程が大幅に増えることになる」と述べ、2015年に飛び交っていた臆測の内容を認める形となった。
3D XPointでは、約100種類の新材料を使用するため、サプライチェーン関連の問題も生じる。「新材料によっては、1つの地域のサプライヤー1社しか確保できない場合もある。大半の顧客企業は、このようなリスクを受け入れることができない。自然災害などに対する安全対策として、調達先を複数の地域で確保する必要があるためだ」(同氏)。
3D XPointと3D NANDフラッシュは、独自の垂直型設計を採用していて、各種処理工程において使われる装置の数も多い。このため、工場全体の処理能力が15%ほど低下するという。Blalock氏は、「当社にとっても、これほどに処理能力を低下させるような難しい技術は初めてだ」と述べる。
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