では、前回と今回の内容を併せてまとめます。
(1)SOEM(Simple Open EtherCAT Manager)と、DO/DO用のEtherCATスレーブを用いて、パトランプやステッピングモーターを動かしてみた
(2)その動かし方の手順の中で、実際に動いているマスタやスレーブを使ってIOMap、FMMU、SyncManager(SM)の説明を行った
(3)“simple_test.c”の改造手順の中で、EtherCATのマスタ用のプログラムの作り方を解説した
以上です。
さて、前回と今回の内容を振り返ってみると、EtherCATの2大技巧、FMMUとSyncManagerという、技術的に非常に面倒くさい内容の話と、SOEMのアプリケーションプログラミングの話だけになってしまいました。
興味のない人には、圧倒的につまらない内容だったかもしれませんが、しかし、EtherCATを真剣に始めようと考えている人にとっては、「世界一役に立つ読み物の一つになった」という自負はあります。
私が調べた限りにおいて、現実に「SOEMのプログラムやEtherCATのスレーブを使って、ステッピングモーターやパトランプを動かしてみた」、という記事や資料は見つけられませんでした(もし見つけていれば、こんなに苦労はしなかったと思う)。
私は、この連載の執筆のために、5月から今日に至るまで、SOEM1.3.0のソースコードを全部読み(全部は理解できませんでしたが)、ステッピングモーターを7個購入し(その幾つかを過電流で破壊しました)、いろいろな人(初対面のハードウェアのエンジニアの方)に、恥しげもなく「教えてください」というメールを、一方的に送りつけてきました。
どんなシステムの学習でもそうだと思いますが「1000回の座学は、たった1回の実証実験や、プロトタイプの製作に及ばない」と思うのです。
例えば、
ということです。
仮に、私にエンジニアとしての信条のようなものがあるとすれば、それは「動いているものだけが真実である」です。
サン・テグジュペリ先生の「星の王子さま」の超有名なセリフ『大切なものは目には見えない』は、私には寝言にしか聞こえません。
『大切なものなら、目に見えるようにする』のが、エンジニアである私の仕事です。
―― たとえ、それが「エロ」であろうが「愛」であろうが、です。
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