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実践! ご主人様とメイドがステッピングモーターを動かす江端さんのDIY奮闘記 EtherCATでホームセキュリティシステムを作る(7)(6/7 ページ)

» 2016年01月28日 09時30分 公開
[江端智一EE Times Japan]

大切なものは“目に見えるようにする”

 では、前回と今回の内容を併せてまとめます。

(1)SOEM(Simple Open EtherCAT Manager)と、DO/DO用のEtherCATスレーブを用いて、パトランプやステッピングモーターを動かしてみた
(2)その動かし方の手順の中で、実際に動いているマスタやスレーブを使ってIOMap、FMMU、SyncManager(SM)の説明を行った
(3)“simple_test.c”の改造手順の中で、EtherCATのマスタ用のプログラムの作り方を解説した

 以上です。


 さて、前回と今回の内容を振り返ってみると、EtherCATの2大技巧、FMMUとSyncManagerという、技術的に非常に面倒くさい内容の話と、SOEMのアプリケーションプログラミングの話だけになってしまいました。

 興味のない人には、圧倒的につまらない内容だったかもしれませんが、しかし、EtherCATを真剣に始めようと考えている人にとっては、「世界一役に立つ読み物の一つになった」という自負はあります。

 私が調べた限りにおいて、現実に「SOEMのプログラムやEtherCATのスレーブを使って、ステッピングモーターやパトランプを動かしてみた」、という記事や資料は見つけられませんでした(もし見つけていれば、こんなに苦労はしなかったと思う)。

 私は、この連載の執筆のために、5月から今日に至るまで、SOEM1.3.0のソースコードを全部読み(全部は理解できませんでしたが)、ステッピングモーターを7個購入し(その幾つかを過電流で破壊しました)、いろいろな人(初対面のハードウェアのエンジニアの方)に、恥しげもなく「教えてください」というメールを、一方的に送りつけてきました。

 どんなシステムの学習でもそうだと思いますが「1000回の座学は、たった1回の実証実験や、プロトタイプの製作に及ばない」と思うのです。

 例えば、

  • 微分方程式の問題集を解くのではなく、階差式に落して、本物の数字を使ってエクセルで計算してみる
  • 政府が発表する人口予測をそのまま、うのみにするのではなく、ネットに落ちている(信ぴょう性の低い)データを拾い集めてでも、自分でプログラミングしてみる
  • 仮説を打ち立てたのであれば、その仮説を声高に主張するのではなく、その仮説に対する実証試験を行ってみる。実証試験が難しいのであれば(例えば、戦争の戦術を検証する為に、実際に戦争することはできない)、自分でシミュレーターを作って、コンピュータの中でシミュレーションしてみる

ということです。

 仮に、私にエンジニアとしての信条のようなものがあるとすれば、それは「動いているものだけが真実である」です。

 サン・テグジュペリ先生の「星の王子さま」の超有名なセリフ『大切なものは目には見えない』は、私には寝言にしか聞こえません。

 『大切なものなら、目に見えるようにする』のが、エンジニアである私の仕事です。

―― たとえ、それが「エロ」であろうが「愛」であろうが、です。

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