EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術は、着実に進化を遂げている。業界には、2018年ごろの実用化を望む声も多いが、当面の課題は光源の強さをどう向上するかにありそうだ。
EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術は、ゆっくりとではあるが進展を遂げていることから、7nmプロセスでの実用化が可能だとする期待が高まってきている。
半導体業界では、EUV技術によって、半導体チップのさらなる小型化と低価格化を実現することができるとの期待から、これまでに数十億米ドル規模の資金を投じてきたが、それでもまだ懐疑的な見方をする声もある。
EUVに欠けているとされるのは、強力かつ信頼性の高い光源を十分に確保できていないという点だ。このため、既存の半導体工場において求められている、1日当たりのウエハー処理枚数を達成することができていない。EUVリソグラフィ装置メーカーであるASMLは、半導体関連の業界団体であるSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)が2015年1月10〜13日に米国カリフォルニア州で開催した「ISS(Industry Strategy Symposium) 2016」において、進捗状況を明らかにした。同社の顧客企業であるTSMCが、2016年2月に行う講演の中で、より詳しいデータを提供できる予定だという。
現在のところ、TSMCなどの量産工場で使われている試作装置の光源出力は85Wだが、近いうちに125Wまで高められる予定だという。ASMLは最近、185Wのデモを披露していて、2016年末までには250Wの光源を実現できる見込みだとしている。
現在、EUV装置の稼働率は約70%で、1日当たりのウエハー処理枚数は500〜600枚だ。1年前の状況と比べると大幅に向上してはいるが、それでも液浸リソグラフィを採用する既存装置の性能には程遠い。
ASMLでEUV担当チーフプログラムオフィサーを務めるFrits van Hout氏は、ISS 2016の会場において、「われわれは今のところ、目標としている位置付けからは2〜3倍もかけ離れた状態にある。現在出荷を開始している試作装置を完全に機能させるには、現場でアップグレードを行わなければならない。しかし2016年末までには、こうした対応を完了できる予定だ」と述べた。
今のところ半導体メーカー各社は、2018年中には生産工程の中でEUV装置を使用できるようにしたいと考えているようだ。そのころには、EUV装置によって第2世代の7nmチップの低価格化を実現できるようになるだろう。
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