EUV(極端紫外線)リソグラフィー技術の実用化が加速する可能性がある。GLOBALFOUNDRIESと米国ニューヨーク州立大学が、5億米ドルを投じて新しい研究開発センターを設立し、EUV装置の導入を進めていくという。
GLOBALFOUNDRIESとニューヨーク州立工科大学(SUNY Polytechnic Institute)は、今後5年間で計5億米ドルを投じ、新しい研究開発センターを設立すると発表した。7nmプロセス以降に向けて、EUV(極端紫外線)リソグラフィー装置の導入を加速させていく考えだ。ついにEUV技術が、製造工場への導入実現に向けて前進し始めたことになるといえるだろう。ただし、実際の導入は、2018年以降になるとみられる。
この研究開発センター「APPC(Advanced Patterning and Productivity Center)」は、米国ニューヨーク州オールバニのCollege of Nanoscale Science and Engineering(CNSE)に設立される予定だ。ASMLのEUV露光装置「NXE:3300B」を設置し、約100人の研究スタッフを採用するという。
GLOBALFOUNDRIESのCTO(最高技術責任者)であり、ワールドワイド研究開発部門担当シニアバイスプレジデントを務めるGary Patton氏は、「今回、非常に明るい見通しを示すことができた。EUV技術は、4〜5年前は非現実的なまでの熱狂的支持を得ながら、2〜3年前には悲観的な見方をされるなど、これまで大きな浮き沈みを経験してきた。しかしようやく、実現が近づきつつある」と述べる。
同氏によれば、早ければ2018〜2019年には、製造工場においてEUV装置が使われるようになる見込みだという。
APPCは、製造工場へのEUV装置の導入実現に向け、マスクやレジスト、EDAソフトウェアなどのエコシステム要素をはじめとする数々の課題に取り組んでいく予定だ。こうした取り組みには、IBMや東京エレクトロンなどのパートナー企業も参加するという。
東京エレクトロンでシニアバイスプレジデントを務めるGishi Chung氏は、発表資料の中で、「EUVは、研究開発によって生み出された技術だ。新しい研究開発センターを設立することにより、EUV技術の実用化を求める声に応え、エンドユーザーの手に委ねていきたい」と述べている。
EUV装置の実用化に向けた取り組みは、これまで大きな遅れが生じていたが、半導体チップの小型化実現を目指す上で、最も熱望されてきた技術的プロジェクトの1つである。これまで、IntelやTSMCなどの最大手の半導体メーカー/ファウンドリーも、こうした取り組みに数十億米ドル規模の資金を投じてきた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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