無線LANビジネス推進連絡会が2016年1月に開催した技術セミナーでは、Wi-Fiの市場が活性化し、用途やサービスも拡大の一途をたどることが強調された。その一方で、GoogleやFacebookなど、キャリア以外の企業の参入は、Wi-Fi市場に新たなサービスを生むとともに、懸念事項ももたらす可能性もあるようだ。
2016年の1年間で30億ユニット――。Wi-Fi Allianceが2016年1月に発表した、Wi-Fiデバイスの出荷数の予測値だ。これは、1日当たり約800万ユニットが出荷される計算になる。2001年におけるWi-Fiデバイスの出荷数は、800万ユニットだった。Wi-Fiデバイスは、15年の間に、1年間の出荷量がわずか1日で出荷されるほどに増えているのである。
無線LANビジネス推進連絡会(以下、Wi-Biz[ワイビズ])の会長を務める小林忠男氏は、同団体が2016年1月に開催した技術セミナーにおいて、「IEEE 802.11bが策定されて十数年、Wi-Fiは、LTEや光通信と並ぶ情報通信インフラに成長した」と語った。Wi-Bizは、無線LANに関するさまざまな問題に対し、企業や団体が自主的に取り組む場として2013年1月31日に発足した団体で、2016年1月の時点で116の企業/団体がメンバーとなっている。
小林氏は、IEEE 802.11a/bが策定された1999年以降のWi-Fi市場を振り返り、「Wi-Fiは、まずは家庭内や企業内で、ケーブルのない利便性を求めて採用されるようになった。これがWi-Fiの“第1の夜明け”だ。“第2の夜明け”は、『ニンテンドーDS』などポータブルゲーム機やノートPCといったモバイル端末にWi-Fiが搭載されるようになったこと。“第3の夜明け”は、『iPhone』の登場である。これによって、Wi-Fiデバイスはあっという間に増加し、AP(アクセスポイント)も一気に増えた。そしてこれから、“第4の夜明け”を迎えようとしている」と語った。
ここで小林氏が述べる“第4の夜明け”とは、もともとWi-Fiの主要な用途でもあった、モバイルネットワークのパンクを回避するためのオフロードの役割がいったん落ち着き、下記のような変化が起こっていることを指している。
このように、Wi-Fiが“第4の夜明け”を迎える中、どのようなビジネスモデルを構築し、どのようなサービスを展開すればいいのかが、極めて重要になってくると小林氏は語る。
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