エリクソン・ジャパンは2016年2月17日、「Mobile World Congress 2016」の出展内容のハイライトを紹介する記者説明会を開催した。5G(第5世代移動通信)につながる技術として、1Gビット/秒(Gbps)以上のデータレートを実現する”Gigabit LTE”や、IoT向けLTEとして策定が進んでいる規格「NB-IoT」「LTE-M」をサポートする、基地局向けのソフトウェアなどが展示される予定だ。
「Mobile World Congress 2016」(2016年2月22〜25日)が、スペイン バルセロナで間もなく開催される。
スウェーデンのEricssonは、「ネットワーク化社会の構築」「ネットワーク」「変革をもたらすIT」「メディア―インターネット時代のTVへ」「産業界」という5つのエリアを設け、それぞれの最新技術と製品を紹介する予定だ。
エリクソン・ジャパンでCTO(最高技術責任者)を務める藤岡雅宣氏は、「中でも重点を置くのが、5GとIoT、クラウドの3つである」と説明する。
5G向けとしては、無線テストベッドの他、ヘリコプターを操作したり自動運転車を走らせたりといった5Gのユースケースを展示する。無線テストベッドは、具体的には、64個のアンテナ素子を搭載したアンテナで、Massive MIMOやMU(マルチユーザー)-MIMOのデモを行う。
5Gにつながる技術として、現行のLTEの性能と効率の向上を実現する「Extreme App Coverage」を紹介する。「これは、1Gビット/秒(Gbps)のデータレートを達成する”Gigabit LTE”と、クラウドRAN(Radio Access Network)を組み合わせることで実現する」(藤岡氏)。
Gigabit LTEは、1)3つのコンポーネントキャリア(通信帯域)を束ねる、2)4×4 MIMOを使う、3)256QAMの適用範囲を広げる、という3つの方法によって1Gbpsのデータレートを目指すものだ。藤岡氏は「理論上は1.2Gbpsになる」と述べる。
3)については、Ericssonのソフトウェア「Ericsson Lean Carrier(ELC)」を使う。LTEは、基地局からの参照信号(パイロット信号とも呼ばれる)が非常に多いといわれている。そのため、基地局からユーザーへ送信するデータ信号と参照信号が、セル間において干渉し、スループットが低減してしまう。ELCを使うことで、参照信号を最大で80%減らし、セル間干渉を軽減することができる。このため、64QAMしか使えなかった場所でも256QAMを適用できるようになり、スループットの向上につながるという。
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