ルネサス エレクトロニクスが2015年10月にβ版の提供を開始した、IoT(モノのインターネット)機器向け設計基盤「Renesas Synergyプラットフォーム」のエコシステムは、確実に拡大しているようだ。ドイツで開催された「embedded world 2016」での同社の発表からは、それを垣間見ることができた。
ルネサス エレクトロニクス(ルネサス)は、ドイツ ニュルンベルクで開催された「embedded world 2016」(2016年2月23〜25日)で、IoT(モノのインターネット)機器向け設計プラットフォームである「Renesas Synergyプラットフォーム(以下、Synergy)」について、新しいマイコン「S124シリーズ」などを発表した。
Synergyでは、ARMのCPUコア「Cortex-Mシリーズ」をベースにした32ビットマイコン「Renesas Synergy Microcontrollers」が使われる。用途に合わせて、「Cortex-M0+」をベースにした「S1」と、「Cortex-M4」コアを搭載した「S3」「S5」「S7」の4つのファミリーがある。これらのファミリーのうち、高効率のCPU処理性能を備える「S3」と、性能を重視した「S7」が2015年に既に発売されている。具体的には、「S3A7グループ」と「S7G2グループ」だ。
今回、ルネサスは低消費電力が特長となる「S1」として、「S124グループ」を発表した。消費電流は動作時で70.3μA/MHzである。周辺機能としては、14ビットのA-Dコンバーター、12ビットのD-Aコンバーター、コンパレーターを搭載している他、30チャネル以上のタッチキーに対応する。通信用インタフェースとしては、USB 2.0 Full Speed(FS)とCAN(Controller Area Network)を備える。主な用途として、電池駆動の機器や無線モーションセンサー、小型のキッチン家電、POS(Point of Sale)端末などがある。
S124グループは、S3A7グループやS7G2グループと完全な互換性を備えている。これは、例えばS124グループ向けに開発されたソフトウェアを、S3A7/S7G2グループを使う際にも再利用できるということだ。
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